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また変わる日本の顔

ついに菅首相が辞任表明をしましたが、日本の政治の不安定さに、米国の格付け会社「ムーディーズ」は、日本国債の評価を1ランク下げました。まあ、情けない話しですが、それでも市場があまり反応を見せないのは、前もって日本経済と政治の不安定さは織り込み済みで、今さら動揺しないということなので、ますます情けない感じがします。

もっと情けないのは、暴力団との関係を理由に芸能界からの引退を表明したタレントの島田紳助氏の記事が、菅首相の辞任表明の記事よりも大きな扱いということです。8月27日付けのシドニー・モーニング・ヘラルド紙は、「TV host sobs as he quits over Yakuza links」との見出しで、島田紳助氏の引退会見時の写真と記事を掲載しました。同日付けの別の紙面には「Kan quits, sparking Japanese showdown」と、菅首相の辞任表明の記事を掲載しましたが、写真はなく、文字数も少なかったのです。

一国の首相の辞任会見のニュースよりも、芸能界のタレントの引退記事のほうが重要だとでもいうのかどうか知りませんが、この間の日本の政治の混乱ぶり、情けなさが窺われます。

今日行なわれる民主党の代表選挙で、事実上の次期首相が決まるのですが、小泉元首相後、ほぼ1年ごとに首相が交代してきた日本は、世界からひんしゅくを買っているのかどうかは知りませんが、6人目、民主党政権で3人目の首相が誕生します。

3月の大震災以来、確か日本では「反原発」「脱原発」が叫ばれてきましたが、いま永田町で叫ばれているのは「反小沢」「脱小沢」の声で、なんだか矮小な議論に落ちているようです。

何も政治の混乱は日本だけではありません。オーストラリアでもここにきて与野党の支持率が逆転するという世論調査の結果を受けて、不安定な政治状況が浮かび上がってきています。

もともと「ハング・パーラメント」(宙ぶらりんの議会)としてはじまったギラード労働党政権ですが、かろうじて無所属議員とグリーンズ(緑の党)の協力を得てなんとかことを進めているわけです。なにか重大な政策論議が始まると、その結果次第では議会が膠着して一歩も前に進めないという、いわば日本の「ねじれ国会」と同じ状況にあります。

もちろん一見似てはいても、実態はかなり異なり、二大政党政治の長い歴史があるため、日本の国会のような政治空白は、早々、起こりません。

幸いなことに、いまのオーストラリアと日本の違いは、たとえ政治状況が似ていたとしても経済的には大きく異なり、景気の悪化や失業率の高さが政治の足を引っ張るということがないので、オーストラリアの政治状況はその意味では安定していると言えます。それに円高、豪ドル高と、同じような通貨高ですが、その与える影響はこれも異なっています。

オーストラリアでは強いドルを持って、多くの国民に海外に出かけてもらいたいのですが、それも日本にぜひ行ってもらいたいですね。先週、チャンネル7がモーニングショーで4日連続、日本を紹介しました。日本政府の働きかけで実現したものですが、このようなメディアを通じた誘客キャンペーンが成功するとよいですね。特に大震災で離れてしまった海外からの観光客を呼び戻す良いきっかけになればと思います。

日本の新首相が誰になったとしても、停滞し、場合によっては後退している外交を立て直し、世界に日本の存在感を再びもたらしてもらいたいです。「問題のないのが問題だ」とよくいわれる日豪関係ですが、そんな状況に頼ることなく、新首相には積極的に日豪の二国間関係をさらに発展してもらいたいです。

(水越)

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