オーストラリア人の「顔」が変わってきています…。美容整形やボトックス注射、レーザー療法など、顔を変えるだけではなく、「口」にも最新技術でイメージチェンジが出来るようになっています。
ご存知のように、オーストラリアでも、イギリス人やヨーロッパ人に特徴的な、歯並びの悪い古い象牙のような歯から、アメリカ人に多く見られる煌めくような白い歯に、徐々にですが変化してきています。これは「手軽にできるホワイトニングから歯列矯正、最後はインプラントで、恋愛や出世を成功させませんか?」などの広告コピーからも窺えます。
…そんな記事を読んで思い出したのが、先日知り合いが、歯を7本も治しに南米まで行ったという話し。とにかく安いらしいです。確かにオーストラリアでそんなに何本も歯を治療すると何万ドルもかかります。
最近の新しい技術では、痛みも少なく、見栄えも良くて安全で、昔のような歯医者のイメージがなくなりつつあります。治療中もモニターに自分の口の中が映し出されて確認できるし、アッという間に治療もしてくれて、何度も通うこともなく、わりとオーストラリアの歯医者のレベルを評価していました。
それでも、これは正しい専門知識を持った歯医者に治療された時のことです。中には自分の技術をかなり誇張して多額の費用を請求する悪徳歯科医師もいるようです。
例えば、発展途上国への「治療ツアー」の危険性があります。格安な治療費や手術費用に飛びつく患者が多く、タイに歯の治療に行った例では、セメント充填が失敗して顔面の苦痛を味わっている患者が治療のひどさを訴えたとしても、歯医者はかかった治療費を返済するだけで、もちろん患者が治療前にサインした権利放棄書によって守られて、それ以上の賠償金の支払義務はありません。何人も苦情を訴えている同じ歯医者が今でも治療を続けているというのが実態です。
また、オーストラリアのある歯医者の例ですが、この歯医者は裁判所から「治療不適格」と認定され、賠償金160万ドルの支払いを命じる判決を下されましたが、いまだに診療を続けています。州歯科医師会ではそのような問題の対処はできないとし、歯科治療評価委員会では、治癒ミスで患者に賠償金を支払うより、法的免責によって歯科医師を守ることに力を入れているのが実態だといいます。
専門家に言わせると、オーストラリアには歯科治療に対する明確な基準や手段がなく、当然、低所得者は歯医者に行くこともできず、公立の機関で緊急に歯の治療を受けることもできないとしています。政府も財政負担を懸念して、これまで歯科医療をメディケア(国民健康保険)の対象には入れていません。
歯並びはその人の印象を左右します。素敵な笑顔を見せるためにも、子どもの頃から歯列矯正などをしているのが普通です。オーストラリア人の笑顔は素敵ですが、笑顔の裏には他人に窺い知れぬ努力やお金があるのですね。
(水越)
日本では、とくに日差しの強い夏場に重視される“日焼け止め”ですが、オーストラリアでは、一年を通して欠かせない必携アイテム…