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日豪どちらのパスポートを持ちたい?

なんだか思いのほか景気が良くないようなオーストラリアです。小売業界では売り上げが伸びず、景気後退の時期に入っているとの報道もされています。いまでは大型液晶テレビの購入や、ブランド品の購入、新車の購入などあきらめて、多くの人が買い控えているようです。

そんな中、人々が殺到して売り上げが伸びているところがあります。 海外旅行です。

強い豪ドル高の影響で、7月の海外出国者数は、66万1,100人と3.2%の伸びを記録し、これは過去2番目の記録的な数字だそうです。もちろん背景にはドル高とともに、最近の航空料金の値下げがあります。

格安航空会社による信じられないような低価格の航空料金が大きな影響を与えていることは、オーストラリア人の海外旅行者数が、2011年1月から7月までの期間で、前年同期比10%以上の伸びを示していることからも分かります。航空会社も同様に、カンタス航空グループでは、7月は7%の売上増を示しています。

ただし、逆に海外からのオーストラリア訪問者数は、この期間0.4%減少しています。7月の出入国者数の比較では、出国する人数が入国する人数より、18万5,100人多いという結果が出ています。豪ドルが強いために物価高になるから当然ですが。

こうなると旅行代理店によっても、海外旅行をもっぱら提供する代理店は売り上げが伸びていますが、国内旅行専門の代理店には厳しい状況だといえます。Flight Centreなどは業績を伸ばし、Wotifなどは減収・減益だそうです。

さて、強いドルを持って海外に出かけてホリデーを楽しむという状況は大いに結構なんですが、オーストラリアの外務省ではそういう状況だからこそ、注意喚起をしています。

世界では内戦や暴動、テロ事件、自然災害と、危険がいっぱいだというんですね。中東の民主化による混乱や内戦、それに日本やニュージーランド、最近ではアメリカと自然災害が続いています。

海外に出かけるオーストラリア人は、20年前は年間約170万人でしたが、いまでは700万人が世界に出かけています。海外のオーストラリア大使館や領事館が、オーストラリア人が当事者だったり巻き込まれた事件を扱う件数も増加していて、この間50%も増えています。過去5年間で20万件もの事件・事故を処理しているというんです。

海外旅行する人の伸びに比べて、外務省の海外公館の職員は増えていないので、当然、その保護サービスはきめ細かなものにはなりません。となると親切に何でも相談にのってくれないということで、あまり期待せず自衛するほかないということでしょうか。

よく、オーストラリアのパスポートと日本のパスポートと、どちらが世界で通用するのか、大切に扱われるのか、という議論があります。英連邦諸国を旅するにはオーストラリアのパスポートがよさそうですね。でも、過去に英国の植民地だった国々ですから、反発されることもあるかもしれません。

日本のパスポートだと、日本は豊かな国でみんな金持ちだということを信じている人が世界にはたくさんいますから、あらぬ誤解を受けることになるかもしれません。

以前は日本は平和憲法を持ち、軍隊を持たないで、国連への拠出金も多額を負担して、中東諸国とも上手くつきあっていたので、評判は良かったのですが、イラクやアフガニスタンの戦争に追随してしまったおかげで、どうやらそうでもなくなってきたようです。

万が一テロリストに誘拐された場合、日本のパスポートではどういう処遇を受けることになるのか…。時々刻々と変化する世界情勢と、日本の政府の対応次第では、オーストラリアのパスポートにしておけばよかった…、なんてことになるのかもしれません。

そんなことが杞憂になるように、もっともっと人々が世界の国や人々と交流して、パスポートの違いなんかまったく気にならないようにしたいですね。

(水越)

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