”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート) |
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Joe Tsuda のプロフィール
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在Junax Capital,AT FUND,Sydneyでファンドマネージャーを務める傍ら日本の投資家に市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴29年。
趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
今週の主な予定、イベント
9/12(月)中国休場、日銀会合議事録、豪州7月貿易収支、フィッシャー・ダラス連銀総裁講演、ブラード・セントルイス連銀総裁講演
13(火)野田首相所信表明演説、9月豪NAB企業信頼感(景況感)指数
14(水)英8月失業率、ユーロ圏8月鉱工業生産、米8月PPI、米8月小売売上高
15(木)NZ中銀政策金利、スイス中銀政策金利、ECB月例報告、英8月小売売上高、ユーロ圏8月CPI、米8月CPI、米8月経常収支、米9月NY連銀製造業景況指数、新規失業保険、米8月鉱工業生産、米8月設備稼働率、9月フィラデルフィア連銀景況指数、トリシェ総裁講演
16(金)ユーロ圏8月経常収支/貿易収支、米7月対米証券投資、9月ミシガン大学消費者信頼感指数、インド中銀政策会議、EU非公式財務相会合
マーケットの焦点
キーワード― 欧州問題(ギリシャ、イタリア)、スイス中銀/日銀の通貨高防止策、今週の米国インフレ/景気指数、中国金融緩和?
先週も数々のイベント目白押しの中、やはりメインテーマはギリシャはじめ欧州債務問題でした。ユーロは1.36台と約半年ぶりの安値、またユーロ円は105円台と10年ぶりの安値を付けています。
リスク回避の動きが全般的に強く、主要国の株価や商品相場は値を下げています。
先週はその他にも、トピックスとしてスイスナショナル銀行(スイス中銀)が急騰するスイスフラン高防止策としてユーロ/スイスフランの下限を1.20に設定すると言う驚きの施策に出ました。8月になってからスイスフランをユーロにペッグさせることを示唆する発言も当局から出ていましたが、6日(火)には実際”即時実施”で導入され、ユーロスイスフランは発表前の1.10から1.21まで急騰し、ドル/スイスフランも0.78台から0.86台に飛びました。このフラン売り/米ドル買いに連動してドル円も77円台に連れ高となっています。スイス中銀は”外貨(準備)を無制限に購入する”と述べて徹底介入を示唆しています。
また木曜日のECB理事会は予想通りに金利は据え置きとなりましたが、先月までタカ派的な発言を繰り返していたトリシェ総裁が、景気判断を下方修正するなどハト派的発言に転じたことも市場に驚きを与えると同時に、逆に欧州不安を更に煽ることになりました。
また同日発表されたオバマ大統領の4470億ドル規模の雇用対策は規模的にはかなりのものですが、片や財政赤字削減を強いられている現状、あまり市場に評価されているようには見えません。
更に金曜日には”週内ギリシャデフォルト”の噂が流れる中、ECBのチーフエコノミストであるシュタルク専務理事が近く退任する模様との観測報道が流れて欧州問題の悪化に拍車をかけた形となり、ギリシャ債の債券スプレッドは過去最大に拡大しています。
週末のG7では欧州問題と成長支援の双方への各国協力姿勢が確認されましたが具体策に欠いており、市場のセンチメントを大きく回復させるには至っていません。
また豪州国内でも下記のようにRBA理事会、Q2GDP発表、8月雇用統計発表と盛りだくさんでした。
今週も欧州問題に対する各国対応は過密スケジュールです。12(月)のイタリア緊縮財政案採決、13(火)のフィンランド・独首脳会議で担保問題について協議、14日(水)からギリシャはIMF、ECB、EUの3機関で構成するトロイカ調査団と協議再開、16-17日(金、土)にEU財務相・中央総裁会―
これら一連の協議で果たして現在悲観ムードに流されつつある欧州債務問題に解決の糸口が見られるか?CDS市場(クレジット・デフォルト・スワップ市場)のプライスは、ギリシャのデフォルトを90%以上織り込んだ形となっています。
また先週末のG7では、事前に介入実施の連絡が行っていなかった模様のトリシェECB総裁は「8/4の日銀介入は多国間で踏んだ手続きの結果ではない。日本とスイスは事情が異なる」と批判的に述べています。
安住財務相は「G7で円売り介入について理解が得られたと確信する」と述べていますが、果たして信頼できるのか?
現在はドルスイスフランの堅調にフォローして77円台キープのドル円ですが、反落局面での政府・日銀の対応が注目されます。
また先週金曜日に発表された中国の8月CPは前年比+6.2%と、前月の6.5%から低下しました。先週は今年になってからも利上げをしていたブラジル中銀が世界的な景気減速を受けて利下げに転じており、ここまで引き締めを強力に進めてきた中国が金融緩和に転換する可能性も指摘されています。その動向を見守る必要があります。
また今週は上記<予定・イベント>で述べたように米国のインフレ指数や小売売上高、鉱工業生産更に各種景況感指数が発表されます。”金利はウソをつかない=景気が悪化すれば金利は下がるし、拡大すれば上がる”訳で、これらの数字を追っていく必要があります。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 1.0421-1.0661 AUDYEN 80.47-82.44
今週の予想レンジ AUDUSD 1.0250-1.0650 AUDYEN 79.00-83.00
今週の豪ドルは下値圧力強いが、どのレベルが押し目買いでサポートされるかに注目
先週の豪ドルは再び”上げて下げる”展開でした。
上記のように先週は総じて市場のリスク回避の動きが強く、この動きは週明けも継続して結果的に豪ドルは現在1.04割れ、80円台半ばまで続落しています。
先週のRBA理事会では予想通りに金利は据え置きとなりました。国内経済の”まだら模様(資源・非資源産業格差)”に加えて世界経済の不透明感増幅が据え置きの理由とされましたが、一方ではRBAはインフレリスクも認識している模様です。
水曜日発表された第二四半期GDPは前期比+1.2%と事前予想+1.0%を上回り、洪水被害が残った前期の-0.9%から回復しつつある印象を与え、豪ドルは1.06台後半、82円台まで反発しました。
しかし木曜日に発表された8月雇用統計が失業率5.3%(予想5.1%、前回5.1%)、就業者数-9.7千人(予想+10千人、前回も-100が-4.1千人に下方修正)されて豪ドルは再び反落し、今週も1.03台、80円台と軟調裡にスタートしています。
景気のまだら模様や、欧州債務問題の不透明感からRBAの金融政策は、少なくとも10/26に発表される第三四半期CPIの結果を見るまで現状維持が続くと思われます。
やはり豪ドル市場へのインパクトは欧州債務問題に起因する”リスク回避とその巻き戻しの動き”がはるかに大きく、今週も欧州問題に振らされる展開となりそうです。
既に下方サポートラインの1.05を大きく切っており、また豪ドル円も下方サポートラインであり、心理的な壁である80円が迫っていますが、どのレベルでアジアをはじめとする各国中銀や本邦投資家が買い意欲を見せるのか注目されます。
これらの押し目買いを吹き飛ばすようなネガティブ材料(たとえば欧州デフォルトとか)が出れば、再び8月初旬のような大暴落(1.00割れ、76円台)に繋がる可能性も否定できず、要注意です。
それでは 、今週も Have a nice WEEK!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
・豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。 http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j
サンプル例を添付させて頂きます。
・現在セントラル短資FXブログに執筆中!
http://www.central-tanshifx.com/
ご注意!
本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、
それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
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