今日、9月19日は「敬老の日」。 敬老の日といえば昔は9月15日でしたが、祝日法の改正で9月の第三月曜日に変わったために、毎年、日付が異なる祝日となりました。
そのため、年によっては、9月21日が第三月曜日の場合は、土・日と月の祝日、さらに水の秋分の日の祝日に、間に挟まった火曜日が国民の祝日ということで5連休となり、5月のゴールデンウィークに並んで、9月のシルバーウィークという大型連休が生まれます。
2011年は三連休のみですが、今週金曜日の秋分の日から再び三連休となります。日本に連絡される方、向こうがお休みなのを忘れないようにしてください。
ところで敬老の日というと、「高齢化社会」が思い浮かびます。
日本の場合、総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合、いわゆる高齢化率は、2010年時点で、1億2,806万人に2,958万人の23.1%です。それが2055年には高齢化率は40.5%までに上昇し、2.5人に一人が65歳以上ということになります。世界でもまれな高齢化社会となってしまうんです。
日本の場合、生産年齢は15歳〜64歳ですので、高齢者を支える現役世代(15歳〜64歳)の比を見ると、2010年には2.8人で高齢者一人を支えていたのが、2055年には1.3人で支えなければなりません。そのため、いましきりと増税論議がなされているんですね。
オーストラリアも高齢化社会に向かっています。例えば、ニュー・サウス・ウエールズ州の場合、今後40年後と比べて、州人口が現在の720万人から1060万人に増加し、特に65歳以上の高齢者が現在の2倍以上の250万人に増える高齢化社会になるという予測がされています。それでも高齢化率は23.5%ですが。
平均寿命も伸びて、2050年の平均寿命予測は、女性が91歳、男性が88.5歳となっています。約2万人の100歳が誕生するといわれています。ちなみに日本の場合、2055年での平均寿命の予測では、女性が90.34歳、男性が83.67歳となっています。
高齢化社会の背景には、いわゆる団塊の世代、欧米でいうところのベビーブーマー(Babyboomer)世代の引退があります。第二次世界大戦終了後、1946年生まれの人たちが今年、伝統的な退職年齢である65歳となり、以後、その世代の人たちの引退が続くことになります。
人口比で多数を占めている団塊の世代の引退は高齢者人口の増大につながり、生産年齢人口の増加を上回っていますから、その結果、高齢化社会となるわけです。このまま政策的に何もしないと、どんどん財政が膨らみ、反対に税収が落ち込み、いましきりと話題になっているギリシャやアイルランドなどの国家的財政危機状態に陥ることになります。
そのためオーストラリアも高齢化に向けて、人口増の「ビッグ・オーストラリア」政策を策定したりしていますが、長寿化は一方で、生産年齢を引き上げてもいます。65歳以上の労働参加率が、男性の場合、現在の15.1%から、2028年には20%に伸び、女性は7%強に伸び、2050年までに12.3%まで伸びると予測されています。
引退後も何らかの仕事に携わる人が多いということです。この背景には、ベビーブーマー世代以降の、「ジェネレーションX」世代の特徴があります。ジェネレーションX世代は、1965年から1981年生まれの世代で、その前の世代と比べて高学歴で、女性の社会進出率も高く、この世代の25歳から34歳の労働参加率は、ベビーブーマー世代の平均76.3%に比べて、81.1%と高い数値を示しています。
そのため引退後も、引き続き働く意欲を持ち続け、実際に継続して働く人たちが多いということです。そうなると当然税収も増えることになり、財政基盤が盤石になるというわけですが、オーストラリアの場合、移民政策により、人口の自然増に加えて、人口増の調整を行なっていることも大きく作用しています。
近年の高い移住者受け入れ数が人口増を支えているのですが、ただし、ニュー・サウス・ウエールズ州の場合は、かつてはオーストラリアへの移住者全体の47%を受け入れていたのですが、いまでは他州に比べて最低の約30%に落ち込んでいます。この背景にはシドニーの不動産価格の高騰があります。住宅価格や物価高で、シドニーに居住する移住者が減ってきているわけです。
今後もオーストラリアは人口政策、移民政策をもって高齢化社会に向かって行くと思いますが、あまりに大都市に偏った人口増では、地方と都市との格差が広がり、さらにインフラ整備の偏りが国全体の発展の阻害要因になりかねません。
ギラード政権がうまく政策的に調整をしてくれるのかなと期待していましたが、このところの難民受け入れ政策への非難で立ち往生している様を見るにつけ、移民政策の入り口でつまずいているわけですから、将来的な高齢化対策はちょっと先送りの感が否めません。
(水越)
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