10月6日は、オーストラリアにとって記念すべき日です。それも忌まわしい日として…。
1859年のこの日、英国から野生のウサギが船でオーストラリアに向けて送り出されました。その年のクリスマスの日に届いたウサギたちは、オーストラリアにとって、まさに恐ろしいクリスマスプレゼントになったのです。
なぜ、ウサギを持ち込んだかというと、当時英国ではスポーツとしての狩猟が流行していました。ウサギ狩りを楽しんでいたわけです。オーストラリアでもウサギ狩りをしたいと考えた人がいて、急遽、ウサギを取り寄せたわけです。
ウサギを放し飼いにしてゲームを楽しもうとした人たちは、当初、恐ろしい結果になるなんてちっとも思っていませんでした。「ネズミ算」なんていいますが、ウサギも“ウサギ算”のように爆発的に繁殖するんです。1年間で10倍以上に増えるウサギに、いくらウサギ狩りをしても追いつきません。
問題は、ウサギが羊の主食である牧草を食べてしまうことです。牧羊はオーストラリアにとって大事な産業です。それがウサギの繁殖によって危機的状況に陥ったわけです。なんとかウサギを撲滅しようと、政府はあの手この手で駆除しましたが、うまくいきません。ニュー・サウス・ウェールズ州では、1887年に、約1,000万匹ものウサギを駆除しましたが、まったくウサギの数は減少しませんでした。
オーストラリアの豊かな農場地帯が、ほとんど牧草を食べられて土むき出しの荒れ地と化していきました。しまいに何千キロに延びるウサギ防護フェンス(Rabbit Proof Fence)が張り巡らされましたが、あまり効果が得られません。
1950年、粘液腫症によりウサギを駆除する方法が生み出され、徐々にウサギが減少していきます。ただし、このウサギの病気に免疫を持ったスーパー・ウサギが生まれていて、そのうちウサギの逆襲が始まるのではないかと…、ちょっと不安です。
そこで思い出すので、カエルの逆襲です。
クイーンズランド州のサトウキビ畑の害虫駆除のために、中南米原産のCane Toad(オオヒキガエル)が、1935年にハワイからオーストラリアに持ち込まれました。
このCane Toadは、ウサギ同様に繁殖力が強く、そのうえ猛毒をもっています。そのため天敵がいないので爆発的に増加して、いまでは国際自然保護連合の「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されているほどです。
当初はクイーンズランド州北部地域のみだったのが、次第に南下して、ついにニュー・サウス・ウェールズ州に入ってきました。そのうちカエル戦争がシドニーでも勃発しそうです。
オーストラリアはほかの大陸や国から隔絶された位置にあるため、これまで外敵からの侵入や侵略を受けてきませんでした。(日本軍による爆撃はありましたが。)なにもそれは敵の軍隊による侵略ばかりではなく、動物や植物などによる外来種の持ち込みにも厳しい検疫制度で対処しているほどです。
それがまさかウサギやカエルの逆襲で、オーストラリアが滅びるなんてことはないでしょうね。
(水越)
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