今朝の新聞にショッキングな記事が載っていました。
2009年10月にシドニー南部のクロヌラで発生した暴行死事件で、フィリピン系オーストラリア人男性(当時67)を殴り殺した被告(当時23歳)が、被害者を日本人と勘違いして「日本に帰れ」などと叫びながら襲ったというのです。
新聞記事は、「Racism claim in killing of stranger」という見出しで、この事件の公判が始まって事件の概要が明らかになったことを伝えています。
23歳の誕生日を祝ってかなり酔っていた被告が、被害者を日本人と思って、「こいつは日本人だから殴られて当然なんだ」などと暴言を吐きながら、何度も頭を地面にたたきつけて、頭がい骨骨折と重度の脳損傷で死に至らしめたというものです。
検察側は被告を殺人罪に該当するとし、一方、被告の弁護人は「泥酔状態で、何が起こったかも覚えていなかった」と述べ、傷害致死を訴えています。
殺人と傷害致死では刑の重さに違いがあるわけで、今後の裁判で、検察と弁護人双方の主張が繰り広げられるようです。
しかし、日本人を狙っての犯行…、十分気をつけましょうね。
ところでなにか事件を起こして逮捕されると、裁判にかけられ、懲役何年などと判決が下されますが、必ずしも被告がみんな刑務所に送られるかというと、もちろんそうではありません。
情状酌量という判断で、執行猶予というものがついたりして、刑務所に収監されるのを免れることがあります。特に、初犯の場合、「初めてだし、非常に反省しているので、今回は大目にみよう。ただし、二度とこんなことはしないように」と裁判長に諭されて終わりということがあります。
裁判で実刑判決がでて刑務所に収監される収監率を比較したところ、傷害罪の場合、初犯ならわずか5.4%が収監され、前科があるなら76%が刑務所行き、ということですから、初犯ならほとんど実刑は免れるようです。傷害まで至らない暴行だけなら、初犯は0.7%ですからまず刑務所に行くことはほぼありません。前科があっても48.6%と、半数強は免れています。
児童への強制わいせつでは、罪が重いということで、初犯でも42.3%は刑務所に、前科があれば約8割(79.2%)が収監されます。ただし、悪質な場合は、初犯が74.3%、前科の場合61.5%と、初犯でも高い確率で収監されます。どうして前科があっても収監率が低いのか不明ですが。
大人への強制わいせつは、初犯が13.6%、前科が44.4%と、必ずしも実刑を受ける割合は高くはありません。もちろん事案によるのでしょうね。わいせつ行為といっても、性器の露出から、胸やお尻をさわったりと、さまざまでしょうから。
それでも悪質な強制わいせつ事件というか、性的暴行事件では、初犯でも77%が、前科があるとほぼ全員(97.2%)が刑務所に入れられます。
問題なのは、住居侵入や強盗、車の盗難などの場合、前科があると76〜85%の収監率なんですが、何度も繰り返して、何度も刑務所暮らしをした場合、当然、収監率もさらに高くなり、悪循環になっていることです。なかなか、「反省して二度としません」ということはないようですね。
最も一般的な犯罪である飲酒運転の場合、ニュー・サウス・ウェールズ州では年間、約4万4,000人が逮捕されていますが、刑務所に送致されるのは1%以下の253人です。だからといって安心して飲酒運転することのないように。罰金や免許停止など、重い処分が待っています。
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