「神坂雪佳展」日本語解説ツアーを開催

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2012.07.04

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近代日本美術・デザインの巨匠「神坂雪佳展」　日本語による特別ツアーを開催

20世紀前半の日本において傑出した画家・図案家であった神坂雪佳（1866-1942）の作品展がNSW州立美術館で、6月22日（金）から8月26日（日）まで開催されている。

神坂雪佳はさまざまな分野で創作活動を行ったアーティストで、今回の作品展でも絵画・陶磁器・漆器・染織・木版・素描など約100点が展示される。

琳派最後の巨匠と呼ばれ、日本の伝統美術の流れを継承しつつ、現代アートにまで多大な影響を与えた神坂雪佳の世界を、日本語による分かりやすい解説を聞きながら十分に堪能できるよう、美術館では日本語による特別ツアー（モーニング・ティー付き）を、7月3日と31日に実施する。そこで今回、7月3日に行われたツアーに参加してみた。

当日のツアーには、日本人２８人が参加したが、申し込みが定員以上になり、何人にもお断りしたというほどの人気。この日本語ガイドツアーは、美術館で多言語による案内役を務めるボランティアの方々、コミュニティーアンバサダーの日本人の方がガイド役を務め、参加者は３人のコミュニティーアンバサダーのもと、３つのグループに分かれて展示会場を巡った。


熱心にガイドの説明を聞く参加者	ガイドを務めた西牟田さん（右）と参加者

神坂雪佳これまで、それほど知られた画家ではなかったが、今では世界でも知られるほどで、再評価されている日本人だ。2001年、エルメスの発行する雑誌『LE MONDE D`HERMES』の表紙を飾り、特集が組まれたことで、日本よりも海外で注目され、その後日本国内でも展覧会が催され、再び注目されるようになったという。

日本画家というよりは、今でいう工芸デザイナーのような存在で、絵画をはじめ、陶器や染織、版画にいたるまで、様々な分野でその才能を発揮し、数多くの作品を残している。画風は柔らかで、ユニークな視点をもち、また大胆な構図など、現代に通じるデザイン性を持ち合わせているようだ。

また、会場では、神坂雪佳の作品のほか、琳派創始者の本阿弥光悦と俵屋宗達の作品や、尾形光琳・乾山兄弟の作品なども展示されている。そのほか、現代における琳派の影響を受けたアーティストの作品も展示され、なかにはシドニー在住のデザイナー、五十川明氏の作品も展示されている。

今回、日本語ガイドを務められた、コミュニティーアンバサダーとして7年目という西牟田佳奈さんに話しを聞いた。

「今回の展示で、雪佳がいいなと感じたことは、かつて日本には優雅な生活があったのだと気づかせてくれたことです。日本の生活の中に、古典芸能とか古典文学など、古典というものが脈々と息づいていた時代。季節の移ろいを敏感に感じとり、四季折々の草花を愛でて、それが和歌や俳句になり、絵や器になり、生活空間自体が美的な世界に包まれていた。そういう暮らしが、優雅な生活がかつてはあったということ。それを私たちはまったく忘れていたり、知らされていなくて、いまになってこのように知らされて大発見しているんですね。失ったことは本当に大きいと思います。壊すのは簡単ですが、伝統が一旦なくなってしまうと断絶してしまいます。それが残念です。でもそれが今回このようにシドニーにまで展覧会が来てくれて、これがきっかけとなって、みなさんが日本の良さを再認識していただけるきっかけになってくれれば嬉しいです。日本人にとってもよいことだと思います。」