今週の主な予定、イベント
5/13(月)中国4月鉱工業生産、小売売上高、ユーロ圏財務相会合、米4月小売売上高
14(火)豪州2013/14年度連邦予算案発表、独5月ZEW景況感調査、ユーロ圏3月鉱工業生産、EU財務相理事会、フィラデルフィア連銀総裁講演
15(水)英4月失業率、英四半期インフレ報告、仏・独・ユーロ圏Q1GDP(速報値)、米4月PPI・鉱工業生産・設備稼働率
16(木)日本Q1GDP(速報値)、ユーロ圏4月CPI、米4月CPI・住宅着工・建設許可件数、米新規失業保険申請件数、地区連銀総裁講演(ダラス・ボストン)
17(金)香港、仏陀生誕記念日休場、日本3月機械受注、米4月景気先行指数
18(土)中国4月不動産価格、バーナンキFRB議長講演
マーケットの焦点
キーワード:各国金融緩和(間接的通貨安戦争?)、ドル円三度目の正直で100円突破、日米財政赤字、米中密約説、米国本当に景気回復?北朝鮮の挑発
世界的に株高、債券高が止まりません。前週のFOMCでの超緩和継続、ECB利下げに続いて先週もRBA、ポーランド中銀、韓国中銀が利下げするなど、世界的な超低金利政策や量的緩和を背景に株高・債券高が進行し、米国や豪州では既に不動産価格が上昇の兆しを見せています。
G20では”通貨安戦争を回避する”と表明されましたが、各国ともに金融政策は自由裁量であり、結果として金融緩和=通貨安効果があるだけに
”間接的に自国通貨安戦略”に乗り出している訳で、あたかも日本の急激な金融緩和容認を”金融緩和の免罪符”に仕立てているかの印象を受けます。
ただし各国の追加緩和はあくまでも緊急措置の一環であり、それらが解除され始めた時の市場の混乱を今から心配する次第です。
さてドル円は実に1カ月余りかけて三度目の正直でやっと100円をブレークしました。さすがに一旦ブレークすれば「100円」に特別の意味があった訳では決してなく、100円の下など見向きもしないで(調整も全くなく)102円まで円安が進行したのが印象的でした。
まあ、後講釈になりますがきっかけは前週の非常に強い4月米雇用統計(3月のNFPRの上昇修正なども)に木曜日の新規失業保険申請件数が2008年1月以来の低水準となったことですが、何度も指摘しましたヘッジファンドなどの仕手筋が大口の買いを入れたこと、更にはその前提として米中長期債に対する海外投資家の買い越しが続くなどの米債需要が観測されるなどドルの需給バランスがドル買いに傾きつつあったことも事実のようです。
またその背後で<米中密約説>なども囁かれていました。つまり中国は外貨準備で米債投資を継続することを米財務長官と合意したという噂で、その背後で米FRBがQE3縮小検討という観測記事も出回っていました。つまり米出口戦略でFRBによる債券売却から金利が上昇する懸念が生じるが中国が米債購入を続けることで金利上昇圧力を緩和する、また中国政府にとっても巨大な外貨準備の中のドル価値の保全と、人民元上昇圧力の緩和というメリットを享受するというまことしやかな憶測です。
ただかかる観測記事や米景気回復期待のみならず先週発表された日米財政赤字を巡る記事もドル買いを誘ったようです。
つまり日本の財政赤字はアベノミクスによる景気支援の影響もあって拡大の一途を辿り、13年度末には政府債務残高は1千兆円に達する見込みであるのに対して米国の4月財政収支は1128億ドルの黒字と2008年4月以来のなり大幅な黒字となった。
また、今月18日に到達見込みの米政府借り入れの法定上限も米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)の594億ドルに上る返済などにより9月まで上限には達しないという楽観的見方です。
長期的にもシェールガス革命が米経済のみならず税収にも恩恵をもたらす見込みであり、日米財政格差は広がりつつあります。
その他ドル円については本邦機関投資家が外貨建て資産への投資を本格化させるとの観測や、海外投資家による日本株投資の円買いヘッジとしての円売りなど需給面でのドル円の上昇余地もあり、今月15日の米債券の償還・利払いも円転されれずに米債に再投資されるとの見方も出ています。
今更ながら訳のわからない100円の”栓”が取られた今、ドル円はポジション調整の売りを交えながらも、より素直に需給に従った動きとなるでしょう。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9961-1.0306 AUDYEN 100.40-102.19
今週の予想レンジAUDUSD 0.9850-1.0150 AUDYEN 100.00-104.00
今週豪ドルは引き続き対米ドル軟調、対円強保合いでしょう
先週は豪ドルドルが”利下げで悪材料出尽くし堅調”と読みました、読みは大きく外れました。
堅調を読んだ理由はその他にも中国経済の持ち直し(4月貿易収支の改善、インフレ指数の落ち着きから利下げ観測による景気浮揚効果)や4月豪州雇用統計の強い数字などですが、やはり史上最低を更新して2.75%まで利下げが行われたことと、米国のQE3縮小観測がダブルパンチで豪ドルをパリティーの下まで押し下げました。
まあRBAの利下げはかなり意外感がありますし、一方2週間前まで米景気減速懸念が市場を支配していた訳ですから一連の米雇用関連指数の急速な改善もこれまた“寝耳に水”ではありました。
ただ”予期せぬことが起こるのは相場の常”であり、泣き言を言っても始まりません。
むしろ私の中期的な見方は「米国の出口戦略実施で米豪金利格差縮小から豪ドルドルの上値は重く、一方ドル円続伸から豪ドル円は強含み」であり、今回の動きはそれを先取りした感はあります。
しかしながら米FRBがQE3縮小を宣言した訳ではなく、一方私の持論としては今回のRBAによる利下げは”スティーブンス総裁の再任に係わる、あるいは連邦予算案発表を前にした御祝儀的利下げ”であり、一方的な景気の減速下ではないだけに、たとえスティーブンス総裁が不必要な更なる金融緩和に執着しても客観情勢がそれを正当化しないと思います。
その意味ではやはり大きな流れとしては今回の利下げサイクルの終盤との見方を変えていません。
従来から豪ドルは基本的にパリティーの上で、時々リスク回避局面でパリティーを割り込むと言っていますが、米国サイドのQE3縮小観測が更に高まる場合にはコアレンジを1.00の上限200ポイント程度に下方シフトする必要性があるかもしれません。
一方豪ドル円については依然としてドル円の上昇余地が大きいと思いますので、下値は限定的で堅調地合いを継続するでしょう。
それでは Have a nice week in advance!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
http://www.gaitame.com/gaitame/