みなさんは、顎関節症という言葉を聞いたことがありますか?
いわゆる「顎が外れる」と言われる症状で知られる、筋骨格系疾患のことです。
以前の「JAMSスタッフが行ってきました♪」で、
バナナブレッドを食べて顎関節を痛めた営業スタッフSの治療の模様をレポートしましたが、
今回は編集スタッフSが検診を受けにメトロフィジオセラピーの奥谷先生の元を訪れました。
※前回の営業スタッフSの顎関節の治療レポートはこちら ↓
検診時、編集スタッフSにはこれといった自覚症状がありませんでした。
もちろん痛みがあって奥谷先生の元を訪れる場合もありますが、
自覚症状がなくとも顎関節症の予防のために、ぜひとも検診を受けることをおすすめします。
まず、顎関節がどこにあるのか…。
側頭骨(頭蓋骨の一部)と下顎頭の間に位置しています。
円盤というショック吸収材が下顎頭の上に乗っていて骨と骨がぶつからないようにしているのですが、
この円盤がズレてしまうと音が鳴ったり、顎が外れたりするのです。
それでは検診スタート!
まずは問診からです。
一般医GPから顎関節症だと診断されて来院された人も、
じつは顎関節そのものではなく、首が原因で不具合が生じている症状の人も多くいます。
じっくりと問診することで、症状の原因にある程度の検討をつけることができます。
症状や原因によって検診の流れも変わってきますが、
今回は基本的な検診の流れを体験させてもらいました。
最初に顎関節症で見られるいくつかのサインにあてはまるのかチェックしていきます。
ひとつでもあてはまったら要注意!!
顎関節症で見られる、7つの危険信号
1. 顎関節や耳の穴の前あたりなどの痛みがある
2. 「ポーン」とはぜるような音や、
顎の開閉時に「カクッ」「ガクッ」「パキッ」といった間接音がする
3. 頬の筋肉や関節自体がタイトになり、口が開きづらくなる
4. 歯ぎしりや食いしばりをしがち
5. 顔面にケガをしたことがある
6. いろいろな歯の治療経験(とくに歯列矯正や抜歯)がある
7. 後頭部から側頭部、頭頂部、前頭部、目尻、眼球の裏までのラインのどこかに
頭痛があらわれる
7つの項目のうち、心当たりがあったのは4つめの「歯ぎしりやくいしばりをしがち」。
歯の噛む力は、
側頭筋と身体の中で一番強い筋肉である咬筋(こうきん)を中心とした筋肉が使われていて、
奥歯だとなんと最大125kgほどの力がかかるのだとか!
1日3食、30分ずつ咀嚼したとしても、歯が合わさっている時間はほんの10~15分程度で、
常に歯を合わせていると、歯や筋肉、そして顎関節に相当の負担がかかってしまうのです。
顎関節に余計な負担をかけないこと、これが顎関節症を防ぐことに非常に大切なことなのです。
これまでスタッフSは四六時中上下の歯を噛みあわせているのが、あたりまえなのだと思っていました。
平常時は上下の歯はふれあっていないものなのだと知って、かなり衝撃でした・・・。
奥谷先生の元を訪れる患者さんの多くは、抜歯や歯列矯正経験者だそうです。
麻酔で関節がゆるくなった状態で、他人の力で通常の可動域を超えて口を大きく開けられ、
またそれを長時間継続することで、関節が伸びすぎてケガをしてしまうことがあるのです。
歯の痛みで気付きにくく、また関節が固まった後に症状が出るため、
歯の治療からしばらくして症状を自覚する人が多いそうです。
顎関節は歯に近いので歯科を受診する人もいますが、
歯科ではマウススプリントなどで症状を緩和することはできても、
根本的に解決することはむずかしいのです。
また、デスクワークをしている人や、身長の高い人も発症しやすい傾向にあります。
顎関節と姿勢は密接に関係していて、
姿勢の悪さが顎関節症を引き起こす要因の大きなひとつにもなります。
デスクワークの場合は仕事に追われて知らずしらずのうちに姿勢が悪くなっていたり、
身長が高い人の場合は自然と見下ろすことが多くなるため姿勢が悪くなることが多いのだとか。
ドキッ!! …不安にかられるデスクワーク歴5年以上、身長170cmのスタッフS。
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問診の後は、実際に身体の状態をチェックしていきます。
①まず、メジャーで可動域を測ります!
最大限に口を大きく開け、3回測ります。
1回目…47.1mm
2回目…46.9mm
3回目…47mm
正常値は45~53mmで、50mmあればいい感じです!
奥谷先生:0.1mmくらいですけど、一番最初よりはちょっと小さくなりましたね。ということは、筋肉がそれ以上伸ばされたくないと思っているわけです。普段からストレッチをしているともう少し良くなると思いますが、なにもしなくても可動域自体は問題ないです。ただ、半年に一度歯科検診に行くときなどは、ちょっとしんどいかもしれないですね。基本は普段から歯を離すようにしましょう。
顎関節症ではないという診断に、ひと安心のスタッフS。
②つづいて、姿勢のチェックをしていきます!
●デスクワークしているときの姿勢を再現
手で首の付け根を触ってみると、こぶができているのがわかります。
これは、高齢者に見られる典型的なこぶなのだとか!
20代後半ですでにかなりこぶができてしまった状態のスタッフSはショックを隠しきれません…(泣)。。
顎関節症になっている人のほとんどが、このこぶができているそうです!
姿勢が崩れて首の筋肉に余計な力がかかるため顎関節にも負担がかかり、
いつのまにか発症するという負の流れになってしまうのです。
●奥谷先生の指導の元、正しい姿勢にトライ!
こぶのできていたところに手を当てながら、
こぶが出ないよう顎を引きます(このとき、平行に引くことが大切!)。
そしてその状態の姿勢を維持しながら、手を離し肩甲骨を寄せます。
肩と耳たぶが垂直の位置にあるのが正しい姿勢です。
スタッフSの場合は、背中がカタすぎるため、
背筋がそれを補って少し張ったような感覚になっていたのですが、
肩甲骨を独立して動かし、腰の上部が反らないのが理想です。
写真を見れば、その違いは一目瞭然!!
スタッフS、老婆から若者へと一気に若返りました(笑)。
こぶを意識するだけで、すぐに違いを実感!
自然と筋肉の緊張もなくなり、上下の歯があわさらないようになりました。
正しい姿勢をずっとしているのはなかなかにむずかしいですが、
30分に一回、15秒くらいでいいので、デスクワークの最中にも姿勢を意識して修正することが大切です。
③そして、顎関節の動きを診ていきます!
顎関節は上下左右、前後に動かすことができるので、それぞれの動作性をチェックしていきます。
歯を噛みあわせ、歯を見せながら「イーッ」という形にして、
奥谷先生の声に合わせゆっくりと口を開閉させます。
次に、「イーッ」としたまま、下顎を横にずらしていきます。
その後、横に動かしてから口を開閉、
前に動かしてから口を開閉などのコンビネーションで診ていきます。
奥谷先生:動きは悪くないのですが、左右、とくに右方向の動きはかなり固いですね。これは、顎関節、または筋肉が固くて動かすことができないんですね。なにかがブロックをかけているのか、突っ張りすぎて伸びきることができないのか。これは改善していくといいと思います。上下には動かせているので生活に支障はないのですが、横に動かせるということも大切なんです。横に動かすための筋肉もいくつかあるので、それが使えないことが問題となるのです。
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スクリーニングを終えて・・・
検診結果は、スタッフSは顎関節症予備軍であり、こぶがあることが一番の問題だということでした。
正しい姿勢を意識しながら、デスクワークなどで位置を変えられるものは、
できるだけ目線の位置を上げるように配置し、さらに頬や首まわりのマッサージで予防していきます。
奥谷先生は患者さんに自主トレーニングを推奨しています。
実際にスタッフSもマッサージ方法を教えていただきました。
フィジオセラピーで施術しながら、教えてもらったトレーニングを自分で行なうことで、
より大きな効果が得られます。
顎関節症の方には治療のためのトレーニング、
またスタッフSのような予備軍の人には予防トレーニングを教えてもらえますよ!
顎関節症というと突発的に発生するようなイメージがありますが、
実際にはちょっとした日常生活の悪癖が積み重なって発症します。
一度発症すると完治はむずかしいといわれる顎関節症は、ぜひとも予防したいものです。
自分の生活習慣を見なおしてみる意味でも、ぜひ一度、奥谷先生の元を訪れてみてはいかがでしょうか?
歯列矯正を受けている人は、とくに矯正前や矯正中に一度は受診してみることをおすすめします。
Metro Physiotherapy and Injury Clinic
メトロフィジオセラピー
APA認定筋骨格系理学療法士:奥谷匡弘
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