◆◆自分の中に拠り所となる核を感じられるようになる・・Wise Mind(賢い心)◆◆
先日、DBT弁証法的行動療法の創始者であるマーシャ・リネハン博士のDBTワークショップに三日間も参加していました。
シドニーだけでサイコロジストが450人も参加して(参加費1,000ドル、それにメルボルンも・・)さながらロック・スターのワールド・ツアーみたいでした!!ローカルのサイコロジストたちもコーヒータイムに「友だちにドクター・マーシャ・リネハンのコンサートに行くのよ!って言ったのよ
」なんて言っていました。
学んだことはいろいろありますが、参加後私個人にとても役立っている概念があります。それは、Wise Mind(賢い心)です。
DBTは、パーソナリティ障害という激烈な感情のコントロールが非常に難しい方たちのために開発されたものであり、そのような方たちは通常、二極分化の「白黒思考」が非常に特徴的です。世の中のほとんどすべてを「良いか悪いか」の二局で見てしまい、自分自身を「良い」ものとして見るしかない自我の弱さのために、問題が起こるとすべてを他者のせいにして、「人が悪い」となるわけです。
こういう方たちにどのように「弁証法的考え方」すなわち、「全てのものは良いと悪いを内包し合わせ持つ」、全てが「濃淡の程度の違うグレーである」ことをどう分かっていっていただくかということに、大きな主眼があります。療法の名前からして「弁証法的」とつくように。「弁証法」とは哲学用語で難しいですが、簡単にいうと「両極の統合の感覚を持てるようになること」のように考えれば良いと思います。
その理論の中で、私たちには「合理的な心」と「感情的な心」があり、ついどちらかだけで考えたり話してしまいがちですが、大事なのはこの二つの心を統合した「賢い心」で考えたり行動したりする感覚を持てるようになることである、とあります。
その「賢い心」の場所を自分の中に実感するために、湖に小石となって投げられて湖底に沈んだ場所をそのありかとするガイデッド・メディテーションも行いました。
それ以後、私の中に感情も大事にしながらも合理的にも考える「核」のようなもの、拠り所が感じられてうれしいのです。あいかわらず私の人生にも思い通りに行かないことも辛いことも多々起こりますが、そんな不安や欲求不満なときも、その核がある感じを思い出すと、とても安心してやっていける気がするのです。
それを宗教観のある方は、「私の中にいる神さま(あるいは人によっては仏さまやご先祖さまや守護霊やエンジェル?)」のように感じたりもするのだろうなと思います。あるいは自分自身に究極的な安定感を過去に体験させてくれた親や子どもなどの複数人を感じることもあるのではないでしょうか。
自分の中に核のないような漠然とした感じは、なんとなく不安で不穏なものですね。こんな拠り所となる核の感じをどうクライエントにも益々伝えていけるか、ということを考えているところです。
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