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今週の相場見通し(29 October 2018)

<主なイベント>

10/29(月)米9月PCEデフレータ、米9月個人所得収支
30(火)豪州9月住宅建設許可、日本9月失業率、独10月失業率・CPI、ユーロ圏・仏Q3GDP
31(水)豪州Q3CPI、日本9月鉱工業生産、日銀政策会合、中国10月製造業PMI、米10月ADP雇用者数、米10月シカゴ購買部協会景気指数
11/1(木)豪州9月貿易収支、中国10月財新製造業PMI、英国中銀理事会、米10月ISM製造業景気指数、米9月建設支出
2(金)豪州9月小売売上高・Q3PPI、米10月雇用統計、米9月貿易収支

<マーケットの焦点>

米国の中間選挙まで後1週間余りとなり、市場は徐々に煮詰まってきた感じだ。 週末もいくつかのニュースがあった。
ブラジル大統領選で極右のボルソナロ氏が勝利したこと、独ヘッセン州議会選挙で14日のバイエルン州に続いてメルケル首相のキリスト教民主同盟連立が大敗したこと、トランプ大統領が「日本が市場を開放しないと日本車に20%の関税をかける」と発言したことなど。
株式市場も前週に続いてボラタイルな取引の中NYKダウに急落局面が訪れるのは、リスク回避の動きもさることながら、やはり12月に決算を迎える欧米ヘッジファンドの決算を前にした“45日ルール―ファンドの解約を希望する顧客は決算の45日以前に解約を申し出る必要がある”の影響もあるのだろう。
主要国の株価は前週に比べて総じて値を下げて終わっている。
また為替市場ではリスク回避の活発化により「ドル高・円高」傾向が顕著になった。
米中問題は通商のみならず安全保障を含めて摩擦が広範囲に拡大しており、11/29に米中首脳会談は一応設定されているものの、すんなり実現される保証はない。
またイタリアの財政赤字問題は依然懸念されるが、ムーディーズは先週末イタリア国債の格下げを、またS&Pは見通しをstableからnegativeに引き下げている。
Brexitは依然暗礁に乗り上げた感が強いし、サウジアラビアでの記者暗殺事件も簡単に解決に至らず、今後原油価格への影響も懸念される。
不確定要因の一つに米中間選挙の行方があるが、依然として民主党が下院で過半数を取る可能性がある。 もし共和党が過半数を割り込めば、トランンプ大統領も従来のように好き勝手はできない訳で、良くも悪しくも世界に多大な影響を与えてきたトランンプ政策の行方が大いに注目される。
今週は早くも米国の10月雇用統計が発表されるが、余程の悪い数字とならない限り、FRBの緩やかな利上げ継続観測が米ドルをサポートしよう。
一方中間選挙を目前に控えた最近の株価の不安定な動きは、株価の上昇を自らに対する信認度と捉えるトランプ大統領にとって大きな不満材料であり、FRB批判(利上げ批判)を更に活発化させる可能性がある。
また株価の大幅下落は今後のFRBの利上げ速度にも影響を与えるだろう。 ドルインデックスが96を超えてきており、金曜日に発表される9月貿易収支が相変わらず500億ドルを超える赤字と予想されるだけに、トランプ政権からのドル高牽制が始まる可能性にも留意したい。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―引き続き上値の重い展開か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7021-0.7126 AUDYEN 78.56-80.31 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6950-0.7150 AUDYEN 78.00-80.00

 

先週の豪ドルは週初主要国の株価回復もあり反発地合で始まったが、上値も71セント台前半、80円台前半と限定的で、週末にかけては再度リスク回避の動きが強まり、一時70セント台前半、78円台半ばまで年初来の安値を更新した。
今週はQ3CPI、9月小売売上高、貿易収支、住宅建設許可件数などの主要指標が発表されるが、特にQ3CPIが注目される。
予想値はヘッドライン(全項目)が前期比+0.5%(前回+0.4%)、前年比+1.9%(前回+2.0%)、RBAの注目するアンダーライイング・インフレーション(コア指数)は予想が前期比+0.4%(前回+0.5%)、前年比+1.9%(前回+1.9%)となっている。
依然としてRBAターゲット2-3%を割り込む水準であり、今回も落ち着いたインフレが確認されれば、更にRBAの利上げ観測が遠のくことになる。
いずれにしても足元の豪ドルの反発は、ショートポジションの買戻しのみという状況で、ダウントレンドの終了はまだ先の話といえるだろう。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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