今週の主な予定、イベント
11/14(月)日本Q3GDP、黒田総裁講演、中国10月鉱工業生産・小売売上高、ドラギ総裁イタリア財務省主催会合出席、地区連銀総裁講演(ダラス、リッチモンド、SF)
15(火)独11月ZEW景況感指数、独Q3GDP、英10月PPI・CPI、米10月小売売上高、地区連銀総裁講演(フィッシャー副議長、ダラス、ボストン)
16(水) 米10月鉱工業生産/PPI、地区連銀総裁講演(セントルイス、ミネアポリス、フィラデルフィア)
17(木)豪州10月雇用統計、イエレン議長議会証言、米10月CPI/住宅着工件数、地区連銀総裁講演(フィラデルフィア)、米新規失業保険申請件数
18(金)ドラギ総裁講演、地区連銀総裁講演(ダラス、セントルイス、カンザス)
<マーケットの焦点>
キーワード:トランプ勝利、イエレン議長議会証言、日欧米金融政策、Brexit、日銀限界論、原油価格
先週はトランプ氏が下馬評を覆すどんでん返しの大統領選勝利を収め市場は今年一番の乱高下を極めました。
こちらの9日(水)の開票日は朝方からクリントン優勢見通しを受けてドル円は105円台後半に上昇し、NYKダウ(オフショア)も堅調推移しました。
しかし午後トランプ氏の選挙人獲得数がリードし始め、大票田のオハイオとフロリダ2州の勝利が決定的となるや市場はリスク回避の嵐に襲われます。
結局日経平均は900円以上のマイナス、NYダウ(オフショア)は一時1.100ドル以上下落しドル円も101円台前半まで値崩れしました。
市場がいかにアップセット(驚いた)したかが分かります。
しかし市場の反応はそのままネガティブに終わりませんでした。
その後ロンドン市場、ニューヨーク市場を経過するにつれてトランプ氏の勝利宣言が融和的であったことや、同氏の拡大的な経済政策への期待値がどんどん膨らみます。結果的に1日を終わってみればNYKダウは前日比+256ドル(Far Eastの安値から1,000ドル以上上昇)、日経平均はオフショアで1,000円以上の上昇、そしてドル円のニューヨーク市場終値は106円台手前と完全なリスク選好相場に変貌しました。
まさに大方の人はトランプ勝利とその後のトランプブル(強気)相場で1日に2度仰天したことになりました。
先週はその後もトランプブルマーケットが継続し、結局NYKダウは18,800ドル台に史上高値を更新し、ドル円も107円台手前に続伸しました。
市場の焦点は早くも政治的手腕が未知数と言われるトランプ氏が分断した米国民のみならずギクシャクした共和党内部を融合させて、「米国の復活」に向かうのか?あるいは大統領選自体がドラマであり、主人公のトランプ氏の政治力は所詮”演技力”に過ぎなかったのかを確認していくことになります。
今回同時に行われた連邦選挙で共和党が上下両院の過半数を占めたことはトランプ氏に追い風であり、トランプ氏は早くも共和党の実力者ラインス・プリーバス氏(共和党全国委員長)を首席補佐官に指名して政権運営に意欲を見せています。
ただ選挙期間中に見られた同氏の過激な発言は国内政治・金融・外交、国際問題の多岐に渡っており、今後現実路線委どのように移行していくのか予断を許さないとする見方もあります。
今週木曜にはイエレンFRB議長の議会証言がありますが、超ハト派の同議長はトランプ氏と不仲と言われ、「自分が勝利すれば議長職の更新はしない」とトランプ氏が明言されているだけに、同議長から新大統領に対する何らかのコメントが聞かれるか注目されるところです。
トランプ勝利の可能性をある程度意識していた筆者ですが、あくまでもネガティブインパクトを想定していましたが、これほどまでのトランプブル相場に一変するとは思いもよりませんでした。
トランプ勝利となれば市場混乱から12月の米国利上げは回避されると思っていましたが、それも杞憂に終わりそうです。
ただ米国のみならず世界的にもトランプ氏を人種差別主義、孤立主義、保護主義として強い反発があります。
すんなりとトランプ政権への移行(来年1月)が行われるか、まだ紆余曲折がありそうです。
今週安倍首相は訪米してトランプ氏と会談しますが集団安全保障や、TPPなど自由貿易協定などでトランプ氏の真意を確かめることになりそうです。
<豪ドル相場>
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7588-0.7778 AUDYEN 76.78-82.46
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7400-0.7600 AUDYEN 79.0-82.00
今週の豪ドルは: 引き続き不安定な展開でしょう
先週の豪ドルはまさに米大統領選大どんでん返しの影響で予想通りの”乱高下”を演じました。
値幅は上記のように75セント台~77セント台、76円台~82円台と通常の1か月分の動きに匹敵します。
まさに開票日にはトランプ優勢の中、ドルが下落したにもかかわらず、豪ドルはリスク回避の売りに押されて75セント台、76円台まで急落。
しかし一旦トランプ勝利が確定するや、今度はリスク選好の動きが急激に高まり、ドル高・豪ドル高となりました。
しかし市場が落ち着き、リスク選好も一巡すると今度はドル高に押される形で特に対ドルで豪ドルは上値の重い展開で75セント台前半まで軟化しています。
対円ではドル円が107円台に続伸していることから80円台を維持しています。
トランプリスクは対中国での強固姿勢(45%の輸入関税導入など)や商品相場への影響などを通じて豪州経済にも大きな影響もあります。通商面での自由貿易に否定的な姿勢は豪州にとって不利となります。
またアジアでの安全保障からの撤退も豪州の負担増となります。
ただこれらネガティブな面が強調されていますが、企業人であり中国が米国の重要な貿易相手国であり、また米国債の大口保有者で米国の財政ファイナンスのキーを握っていることもトランプ氏は重々承知していますので、過激な言葉もある程度割り引く必要があるでしょう。
とは言いつつもしばらくはトランプ氏の外交や貿易関連の発言が豪ドル相場にも影響しそうで、引き続き不安定な相場となりそうです。
今週は上述したようにイエレン議長の議会証言や木曜日の豪州10月雇用統計なども注目されます。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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