【ダーウィン10日AAP】 今から30年前、オーストラリア中を震撼させた「ディンゴ・ベイビー殺人事件」をご存知だろうか。
1980年8月17日、エアーズロック近くのキャンプ場でテントを張ったチェンバレン夫妻のアザリアちゃん(当時生後9週)が、テントから忽然と姿を消した。夫妻が、ディンゴ(オーストラリア原産の野生の犬)が現場を立ち去るのを見たと証言したため「ディンゴ・ベイビー事件」と呼ばれるようになった。
ディンゴがアザリアちゃんを誘拐したという夫妻の主張もむなしく、事件発生当初から疑われていたアザリアちゃんの母親、リンディさんは、1982年、殺人罪で無期懲役を言い渡されたものの、証拠不十分だとして1987年に逆転無罪となった。
事件発生からちょうど30年を迎える今年、この事件の「真相」とされる事柄が次々と報道されている。
そのひとつが、当時、警察の捜査に協力した現地に住む先住民狩猟者、デイジー・ウォーカバウトさんの証言だ。片言の英語しか話さないというデイジーさんは当時のことについて「日曜の午後だった。女の子がいなくなったといっていろんなところを探し回った」とし、「現場には、赤ちゃんが犬に引きずられた跡があった」述べ、改めて事件の犯人はディンゴであるとした。
事件の捜査に協力した先住民狩猟者らは、事件の裁判で証言する機会を与えられることは全くなく、このことについて、リンディさんを無罪とした裁判長は大きく非難した。