【キャンベラ23日AAP】 オーストラリア食肉家畜生産者事業団(MLA)は、劣悪な環境で輸送される羊の生体輸出の映像が明るみとなり、国内の食肉業界にも少なからず影響が出ているとの見方を示した。特に若年層が菜食主義に流れ、食肉離れが進む可能性もあると懸念を示した。
MLAのリチャード・ノートン取締役は23日、上院の公聴会に出席し、16年に中東行きの輸送船内で撮影されたとされる動画で、劣悪な環境のなかで死んでいく羊の様子について「あれほど残酷な行為は見たことがない」と説明し、「業界は大きな問題に直面している」と述べた。
一方で、食肉の売上そのものは今のところ急落はしておらず、ノートン取締役は「オーストラリアの消費者たちは状況を理解しており、国内の食肉業者を罰しても仕方がないと考えているのだろう」と述べた。また、MLAの役割は、生体輸出を規制したり冷凍肉への切り替えを要請することよりも、業界に情報を提供していくことだとの考えを示した。