【メルボルン17日AAP】 メルボルンで、違法薬物ヘロインの過剰摂取で意識不明となっていた見知らぬ女性のために緊急通報「トリプルO(オウ)」に通報した男性が、通話オペレーターからマウス・ツー・マウス(口移し)の人工呼吸をするよう指示を受けた。男性は処置を行い女性は一命を取り留めたが、疫病感染の危険もあるため、感染予防対策を男性に案内しなかったオペレーターの指示に問題があったことが指摘されている。
先月12日、クリス・コールさんはメルボルン郊外ヒールスビルで、車に乗った意識不明の女性を発見。一緒にいた女性の恋人は、彼女は薬物の過剰摂取で意識を失ったと説明した。そこでコールさんは緊急通報をしたが、対応したオペレーターはコールさんに対して人工呼吸を口移しでするよう指示。コールさんは「彼女は薬物中毒者だし、エイズや肝炎感染の危険があるので嫌だ」と言ったところ、オペレーターは「命がかかっているんだから」と言ってコールさんを説得。コールさんは女性の恋人に人工呼吸をするよう言ったが、この男性もショックで何もできない状態だった。コールさんは仕方なく、オペレーターの指示の元、マウス・ツー・マウスを女性に行った。
しかしこの後、コールさんが自身の家庭医などに話をしたところ「疫病の感染予防なしでマウス・ツー・マウスなんてあり得ない」と言われ、すぐにエイズ及び肝炎の検査を受けるよう言われた。3カ月後に再度、検査を受ける。
コールさんは、女性が一命を取り留めたことはうれしいとしながらも、疫病感染の危険を医師から説明を受けた今なら絶対にオペレーターの指示を拒否すると話した。コールスさんの医師によると、マウス・ツー・マウスの人工呼吸を行う際は、シャツやハンカチを口に当てることで疫病感染防止になるという。