【キャンベラ17日AAP】 働いているのに失業保険や障害者手当を受け取る者や、偽名を使ってセンターリンクに登録する者が以前は跡を絶たなかったが、関係省庁の枠を超えたデータの照合制度が1991年に導入されて以来、社会保険の悪用件数が減少していることが最近の研究で明らかになった。
オーストラリア犯罪学研究所の研究結果によると、社会保険の提供側は受給者側のニーズに敏感であるべきだとされているため、受給者の正当性の確認が困難だという。そのために他国と同様、オーストラリアの社会保険制度も、以前は詐欺的行為を非常に受けやすい状態だった。しかし1991年から、社会保険の受給申請の際にはタックス・ファイル・ナンバーの申告が義務付けられるようになったことから、税務署とセンターリンクの各データベースを比較できるようになった。
当初は社会保険の受給者の受給額に対し、申告所得額を比較するという単純な仕組みだったが、今では他の多くの省庁も加わり、銀行口座の利子所得から会社や不動産への投資収入までを対象とし、不正摘発率が一段と向上しているようだ。
この研究に携わったグリフィス大学のティム・プレンズラー教授は、センターリンクが08/09年度に4回のデータ照合の周期で、5万3643件の見直しを実施した結果、利用者から1年間で合計1億1250万ドルの負債を回収できたと述べた。また、同年度に2万6084件の詐欺調査を実施し、最終的に3388件を起訴したところ、その98.9%に有罪判決が下されたという。