【シドニー22日AAP】 イスラム教の女性信者が顔全体を覆うために着用する「ブルガ」に関しては国内で常に論争の的になっている。シドニーで、ブルガを脱ぐことを警察に強要されたと訴えた女性が虚偽罪で懲役刑となった件に関して、裁判所は、訴えを起こした本人はブルガを着用していたために、検察側は適切な身元確認を行ったことを証明できないとして、この女性の有罪判決を無効とすることとした。
2010年6月、シドニー南西部ウッドバインで、イスラム教信者のカーニタ・マシューズさん(47)は運転中に警察に停止され、身元確認のためブルガを脱ぐように言われた。マシューズさんの弁護士によると、彼女は警察が2度目に求めた際にブルガを脱いだという。この出来事から3日後、「警察はブルガ脱衣を強要した」という内容の訴えが裁判所に提出されたが、この訴えは虚偽だとしてマシューズさんは懲役6カ月を受けた。
20日、NSW州地方裁判所で開かれた裁判で、裁判長は「ブルガ脱衣を強要されたという訴えを提出した人物はブルガを着用していたため、検察側は、この訴えを起こしたのがマシューズさんと同一人物であったかどうかを証明することはできない」として、マシューズさんの有罪判決を無効とした。
ギャラチャーNSW州警察相によると、警察はパトロール中の職務質問でブルガ脱衣を強要させる権利はないという。しかし、重要犯罪の場合はこの限りではない。同警察相は、今後、ブルガ脱衣に関する警察の権限が拡大される可能性を示唆した。またマシューズさんの弁護士も、現行の法律がブルガに関して非常にあいまいであるために起こったケースだと訴えた。この弁護士は、マシューズさんは今後、法的費用の請求を行う可能性があると述べた。