【メルボルン25日AAP】 オーストラリアでサリドマイドを開発・販売していた企業に対する集団訴訟が、間もなく開始する。そのリード役を務めるのは、サリドマイドが原因で生まれつき奇形であるメルボルンの女性だ。
リネット・ロウさん(49)は、母親が1961年に妊娠中につわり薬としてサリドマイドを摂取したために、手足すべてを欠損した状態で誕生した。ロウさんのように母親が妊娠当時にサリドマイドを摂取しており、1958年1月1日から1970年12月31日の間に生まれたオーストラリア人を対象に、ドイツの同薬開発会社のグリューネンタール株式会社と、オーストラリアで同薬の販売権を持っていた英国のディスティラーズ・カンパニー(バイオケミカルズ)株式会社を相手取り、VIC州高裁で集団訴訟が行われる。
原告側の弁護士であるピーター・ゴードン氏は昨年、45人のオーストラリア人とニュージーランド人のサリドマイド犠牲者のために、英国のディアジオ社との和解に成功した訴訟に関与した経歴を持つ。同氏はその訴訟を通じ、「50年間も耐え続けてきた身体的な奇形に対する補償もされず、あるいは心理的に納得できる説明すら受けていないサリドマイド患者が、今でも大勢いることを知るようになった」と語った。