【シドニー26日AAP】 2009年10月にシドニー南部クラナラで発生した、日本人と間違えられたフィリピン系オーストラリア人男性が撲殺された事件の公判が行われている。
この事件は2009年10月10日午前5時半ごろ、23歳の誕生日を祝っていたジェームス・ディーン・ウィルコックス被告がマグノ・アルバラードさん(当時67)を日本人と勘違いし「日本に帰れ」などと言いながら突っかかっていった。逃げようとしたアルバラードさんは同被告に押さえ込まれ、「こいつは日本人だから殴られて当然なんだ」などと暴言を吐きかけられながら、何度も頭を地面にたたきつけられ、頭がい骨骨折及び重度の脳損傷で死亡した。
裁判の中で検察側は、ディーン・ウィルコックス被告は被害者を殺害する意志はなかったようだが、重度のダメージを与えるつもりで攻撃していて、殺人罪に該当するとした。一方、被告の弁護人は「被告は事件当時、泥酔状態にあり、何が起こったかも覚えていなかった。警察による聴取の中で自分が人を殺した事実を聞かされて、被告は強いショックを受けていたことがビデオに収められている」と述べ、被害者への暴行が殺人につながるとは予測できる状態ではなかったことを強調した。