【パース5日AAP】 3人の親のDNAを操作することで、遺伝病である「ミトコンドリア病」を持つ子どもの誕生を防ぐ-VIC州の専門家が現在、この技術に注目している。しかし、受精卵にDNA操作を加えることは法律上の制限があり、実現までの道のりはまだ長いと話している。
母子遺伝するミトコンドリア病は、摂取した食べ物をエネルギーに変えることができず、筋肉や神経破損、さらには臓器不全、難聴といった問題を伴う。オーストラリアでは毎週1人がミトコンドリア病を持って誕生している。
この技術では、ドナーの卵子(ドナーの染色体を取り除き、かつ健康なミトコンドリアDNAを有するもの)に、ミトコンドリア病の遺伝子を取り除いた母親の染色体を注入し、その卵子に対して通常の体外受精と同様、父親の精子を受精させ、受精卵を誕生させるというもの。
この技術に注目しているのは、VIC州モナシュ医療研究所のセント・ジョン教授。教授は、母親の遺伝子を取り除くというこの技術が法律的に可能かどうかは不明だが、発育遅延胚を使用すれば技術テストも可能ではないかと述べた。現在、連邦政府は研究目的での胚使用に関する法律の見直しを行っており、セント・ジョン教授も、今後数年、研究を重ねて技術の安全性を確認したいとしている。