【メルボルン13日AAP】 2009年2月に発生したオーストラリア史上でも類を見ない大森林火災となった「暗黒の土曜日」(Black Saturday bushfires)に関して、現場に火を放ったとされる容疑者に対する裁判が13日、VIC州最高裁判所で開かれた。
この裁判は、VIC州東部チャーチヒル周辺で発生した、3万6000ヘクタール、156家屋を焼いた火災に関して、元ボランティア消防隊員のブレンダン・ジェームス・ソカルク被告(42)が、同火災で死亡した10人に対する放火殺人罪で起訴されているもの。同被告は裁判の中で、火を放った事実は認めたものの、故意ではなく、車の窓からたばこの灰が落ちたと証言した。
これに対して検察側は、ソカルク被告は、2009年2月7日の火災発生時に現場にいた理由に関して、ある人には「結婚式に向かっている」と言い、また別の人には「同地域の友人に会うため」と話し、さらには数日後、警察に対して「環境省のスタッフが火を放つのを目撃した」と通報しているとして、なぜこのように嘘をつく必要があるのかと述べた。一方の弁護側は、「被告は自閉症であるため、容易に犯罪者に仕立て上げられる」とし、あくまで火を放ったことは故意でなかったと主張した。
裁判は14日も引き続き行われる。