【ダーウィン12日AAP】 32年前にNT準州ウルルのキャンプ地で発生した乳児失踪事件に関して12日、4度目となる検視審問がダーウィンの裁判所で開かれ、検視官は乳児の死因は野犬のディンゴによるものとの結論を述べた。一度は乳児殺害で無期懲役の刑を受けた母親のリンジー・チャンバーレイン・クレートンさんは裁判後、「安堵した」と話した。
この日の裁判で、NT準州のモリス検視官は「乳児の死因はディンゴに連れ去られ襲撃を受けたもの」と述べ、涙をこらえながら「子どもを失った悲しみを取り消してくれるものでは決してない」と述べた。この検視結果を受けた裁判所内では人々の歓声に包まれた。
「ディンゴ・ベビー事件」として知られるこの事件は、1980年8月17日、母親のリンディーさんが生後間もないアザリアちゃんがテントから行方不明となったもの。両親はアザリアちゃんがディンゴに連れ去られたと一貫して主張していたが、リンディーさんは1982年に無期懲役を言い渡され、1987年に王立委員会の決定により釈放となった。
裁判後、リンディーさんは「ディンゴが安全な動物でないことが証明された。オーストラリアは素晴らしい国だが危険もあることをすべての国民に気づいて欲しい」と話した。またリンディーさんの元夫でアザリアちゃんの父であるマイケル・チャンバーレィンさんは「やっと真実が明らかにされた」と述べた。