【キャンベラ8日AAP】 反捕鯨・環境保護団体「シーシェパード」(SS)は8日、TAS州ホバートで記者会見を開き、ポール・ワトソン氏が米SSとオーストラリアSSの代表の座から退くことを発表した。後任には、グリーンズの元党首であるボブ・ブラウン氏が就任する。
ブラウン氏は昨年、政界を引退し、今月1日、SSのトップに参加。ワトソン氏とは長年の友人であるという。ブラウン氏は、SSによる第9回目の南極海での捕鯨阻止活動に参加する。「ここ数年、SSの日本の捕鯨阻止活動により4000頭のクジラの命が救われた。日本政府をここまでいらだたせるワトソン氏には敬意を感じている」と同氏。
今回のワトソン氏の退陣の背景には、同氏が行ったこれまでの危険航海に関して中米コスタリカと日本の裁判で訴えられていることがある。米国では、同氏に対して日本の捕鯨船から最低450メートル離れるよう裁判所の命令が下されたこともあり、ワトソン氏がSSから表面的に退くことで、SSの活動は同氏に一切関係ないものとみせる意図があるとみられている。
またSSは、日本鯨類研究所(ICR)が同団体に対して起こした裁判の費用約3億米ドルは、東日本大震災の寄付金で賄われたと非難している。