【キャンベラ4日AAP】 一時滞在就労ビザ、いわゆる「457ビザ」の発給条件の厳格化について、現在、シドニー西部を訪問中のギラード連邦首相は、「規制改善によりシステムの悪用を防ぐ必要がある」として、市民らに理解を求めた。
オーストラリア労働組合会議(ACTU)によると、建築業における雇用数は減少傾向にある中、同業における457ビザの発給件数は38%上昇と、不可解な状況となっており、与党や労組側は、ビザ発給システムを悪用し外国人労働者が簡単に呼び寄せられることでオーストラリア人の雇用機会が減少していると懸念している。
ギラード首相は4日、同ビザ発給システムは前ハワード政権時から受け継いだものであることを前置きした上で、規制改善により悪徳雇用者の特定に努めたいと述べた。また、海外労働者の必要性に理解を示す一方、「オーストラリア人の雇用機会が優先されるべき」であることを強調した。
これに関して野党は、457ビザ所持者は国内雇用者全体に対してわずか0.7%に過ぎず、ビザを支給された人のうち8割以上は既にオーストラリアに住んでいる人であることを指摘。アボット野党党首は、「(外国人居住者が多い)シドニー西部にいて、ギラード首相は彼らの生活をかき回そうとしている。首相は国民のために活動すべきであり、部族リーダーであるべきではない」と語った。