【シドニー15日AAP】 妊婦にインフルエンザの予防接種を積極的に奨励する必要があるとする報告書が発表された。妊婦がインフルエンザを発症すると、重病や早産の発生リスクが高まるという。
シドニーの博士候補生、ケリー・ワイリーさんらの研究チームが2011年のインフルエンザの流行時期に、815人の妊婦を対象に調査を実施した。「メディカル・ジャーナル・オブ・オーストラリア」誌の最新号で発表されたその調査結果によると、妊婦の大半は医療従事者に勧められない限り、予防接種を受けるのに消極的だという。お腹の中の赤ちゃんにも効果があるが、調査対象者のうち実際に予防接種を受けたのはわずか3分の1だった。
また同誌に掲載された別の調査では、インフルエンザ発症の際に入院が必要となる確率は、妊娠中の場合のほうがそうでない女性に比べ5倍も高いという。
これを受けてNSW州の健康保護局長のジェレミー・マカナルティ博士は、「妊娠中の女性がインフルエンザを発症すると呼吸器系や免疫系の障害を引き起こす可能性があり、合併症を伴わない健康な妊婦であっても、生命の危機に至る恐れがある」と警告した。また、「インフルエンザの予防接種は妊婦が重病になるリスクを低減するだけでなく、母親から接種抗体が移動することで、赤ちゃんも最高6か月間、発症リスクが低減する」と述べた。