【シドニー6日AAP】 体外受精で生まれた息子が生後すぐに障害を持ったことについて、不妊治療を担当した医師を訴えていた夫妻が敗訴した。この夫妻は、「障害児となる可能性を知っていれば子を望まなかった」として医師の説明不足を訴えていたが、裁判所はこれを棄却した。
ワーラー夫妻は、産婦人科医であるジェームス医師の元で不妊治療を受け、息子のキーデン君を授かった。しかし、キーデン君は父親の遺伝で先天性凝固異常症(ATD)を持ち、誕生から数日後に脳卒中を発症。障害を持つことになった。
ワーラー夫妻の訴えは、キーデン君の障害はATDに起因するものであり、生まれてくる子が父親のATDを受け継ぐ可能性を知っていたらキーデン君の誕生を望まなかったとして、精神的・身体的苦痛を被ったことに関する慰謝料、また今後キーデン君の養育費用などを医師に対して求めていた。
6日に最高裁で開かれた裁判でヒスロップ裁判長は、ジェームス医師は、キーデン君の父親のATDはキーデン君に遺伝する可能性を知っていたが、それについてワーラー夫妻に説明する義務はなかったとした。
また裁判長は、夫妻が提供した「ATD遺伝の可能性を知っていればキーデン君の誕生を望まなかった」という主張を認めたが、キーデン君の脳卒中がATDに起因するものかどうかを決定づける証拠がないとし、「キーデン君がATDを受け継ぐ可能性は予測できたものの、キーデン君が障害を持つという結果は予測不能であった」とし、ワーラー夫妻の訴えを全面的に棄却した。