【シドニー10日AAP】 NSW州の特別委員会は、若者のアイスなど違法薬物の依存問題について聴聞会を開いた。ベレジクリアン州首相はドラッグ被害を縮小させる方策として導入を求める声が高まっているピルテスティングに反対の姿勢を示してきたが、専門家による見解にも耳を傾ける姿勢を示した。ピルテスティングとは、使用者がドラッグの成分を確認し、危険な物質を避け被害に合わないようにするもの。
聴聞会では薬物中毒患者のリハビリテーションや治療を行うテッド・ノフズ・ファンデーション(Ted Noffs Foundation)などが出席した。同ファウンデーションのノフズCEOによると、音楽フェスなどでMDMAなどのドラッグを使用する若者たちと、アイス中毒で治療が必要な若者は根本的に違うといい、何らかのトラウマを抱えた若者たちが薬物に溺れた末、脱落者という社会的レッテルを貼られてしまうことが治療の壁になっていると指摘した。
さらにノフズCEOは、NSW州でピルテスティングの議論がなされるようになったことは、「誰でも人生において問題を抱えるものだ」ということを語る手がかりになっていると評価した。ただベレジクリアン首相は、委員会がピルテスティングの試験的な実施を支持しても、反対の立場を変える可能性は低いとみられている。