【シドニー29日AAP】 メディケア保持者が一般医から診察を受けた際に、医師がその診察料を全額国負担となるよう申請する、いわゆる「バルクビル」制度について、患者に5ドルを負担させようという動きが出ている。アボット首相がこの動きを否定していないと報道されたことから、医師らは痛烈な非難の声を浴びせ始めた。
患者に5ドルを負担させる制度の導入案が国家監査委員会に提出された。ただ導入後も、年金受給者や特別割引証の保持者は負担を免除される。また、1家庭につき年間12回までは免除される予定。
導入に反対する「医師改革協会」によると、連邦政府が導入を決定した場合、患者が一般医に行かなくり病気が悪化し、最終的には病院に搬送されることになって、結局のところ政府の医療費が増大することになるという。また、増大額を補てんするため、各州政府が救急医療サービスに対して新たな料金を導入することになりかねないと批判した。
一方、オーストラリア医師会(AMA)も患者負担案について、患者が診察を受けることに二の足を踏むことになるだろうと懸念している。また、グリーンズのディ・ナターレ党首もこれに同意し、アボット政権が米国型の2層式の医療体制に向かっており、患者が銀行口座の残高に基づき病院行きを決定しなくてはならなくなると強く非難した。