【メルボルン28日AAP】 7月からの最低賃金改定に向けて、公正労働委員会が見直しを行なっているが、労働組合と企業側で金額を巡って対立が続いている。
雇用主は週10ドルの増額が妥当だとし、一方、労働組合は週27ドルを要求している。現在の最低賃金は、週622ドル20セントで、昨年は週15ドル80セント増額している。
経営側は、増額幅が大きいと中小企業は倒産に追い込まれると訴え、組合側は、低所得の労働者は消費者でもあり、経済を刺激することにつながると主張。さらに、生活費の上昇に見合った賃金アップがなかったために、この10年で格差が広がったとも主張している。
オーストラリア産業グループの代表者は、最低賃金水準はOECD諸国の中でも最高レベルで、あまりの賃金上昇は、労働時間を増やしたいとするパートタイム労働者に影響を与え、ひいてはオーストラリアの国際競争力にも打撃を与えることになると警告している。
一方、オーストラリア労働組合連合は、20年前の最低賃金は平均的フルタイム賃金の60パーセントだったが、今日では43パーセントに落ちている。このままでは米国のようにワーキングプアが増えることになると強調した。
公正労働委員会では、28日に提出された労使双方の意見書を元に検討し、6月中に決定して、7月1日からオーストラリアの法定最低賃金として適用する。