【キャンベラ9日AAP】 ボート難民を収容するパプア・ニューギニア(PNG)のマヌス島の収容施設は、国連の難民対策に照らした法的整備がなされていないという。
マヌス島の不法入国者収容施設にいるイラン人男性が、オーストラリア政府は亡命希望者をPNGの収容施設に送り込む権限を有していないと裁判に訴えた。
この裁判で男性の訴えが認められ、マヌス島への移送が違法だとされると、オーストラリア政府が進めている海外での難民審査政策が実行できなくなる。
マヌス島の収容施設では、最近、暴動が起きて収容者が死亡するという事件が起きている。
男性の弁護士マーク・ロビンソン氏は、9日、審理を行っている連邦高等裁判所で、政府はマヌス島に収容施設を建設する前に、国連の難民高等弁務官事務所(UNHCR)への照会を考慮する必要があったと訴えた。
当時のクリス・ボーエン移民相は、PNGでの難民審査を可能にするための改正案を議会に提出したが、UNHCRに照会したのは6日前であり、法案が通過した後に議会に上程されたことが明らかになった。
また、ロビンソン弁護士は、憲法に基づいても、強制送還などを含む海外での難民審査は、それを超えた権限逸脱だと述べた。
グリーンズのサラ・ハンソン=ヤング上院議員は、「裁判の結果に関係なく、マヌス島の収容施設は、残酷で、費用もかかり、とても危険なため、むしろすぐに閉鎖される必要がある」と語った。