【シドニー27日AAP】 NSW州で90年台初頭に国内外のバックパッカー7人を殺害した犯人が死亡した。最後まで自責の念や良心を示すことはなかった。
イアン・ミラット受刑囚(74)は27日午前4時7分、シドニーのロング・ベイ病院で死亡した。同受刑囚は1996年に終身刑を言い渡されて服役中にあったが、5月にがんが見つかって放射線治療を受けていた。
90年台初頭、ミラット受刑囚のヒッチハイクを受けた19~22歳のドイツ人3人、英国人2人、オーストラリア人2人の切断された遺体が、NSW州バラングロの国有林で見つかった。1994年5月、同じくヒッチハイクをした英国人のポール・オニオンズさんが逃走し、警察の捜査につながった。警察は1971年から1991年にかけて発見された別の3人の遺体についても、ミラット受刑者が殺害した可能性があるとみている。
NSW州のロバーツ看守相は27日、「ミラットは刑務所で死ぬ予定だった。自責の念を示すことはなかった。地獄で腐ればいい」と声明を発表した。殺人事件捜査を主導した元刑事のクライブ・スモールさんも、「わずかな良識があれば、生前に示すことができたはずだ」とコメントした。
犠牲者の一人、キャロライン・クラークさん(21)の父親のイアンさんは、「娘のことを考えない日はない」と話した。また、キャロラインさんの遺体を発見して埋葬することができたが、「遺体が見つかっていない犠牲者の親を思うと非常に心が痛い。遺棄した場所を明かしてくれたら」と加えた。