【NSW25日】 NSW州にある刑務所が、従来の刑務所の常識を覆し、犯罪の連鎖を断ち切ろうとしていることで注目を集めている。
マッコーリー矯正センターは、典型的な刑務所ではなく、殺人から武装強盗、深刻な麻薬取引に至る、さまざまな悪事を働いた囚人が収容されている場所。しかし、独房のドアがガチャンと閉まる音や、刑務所内での乱闘の叫び声、刑務官と受刑者が体当たりするようなことは起こらない。他と一線を画す同刑務所の方針は、その結果として所内での暴力が減り、再犯率も減少しているという。この新社会的モデルは、同州における刑務所に対する人々の認識を変えつつある。
ポッドキャスト「Breaking Badness」の取材のため、同刑務所に取材を行った元殺人課のゲーリー・ジュベリン刑事は「ここでは、受刑者は1日7時間一緒に働き、さらに7時間勉強をする」と述べた。同番組では、同刑務所で受刑者たちに何が提供されているかも明かされており、受刑者は働いて、敷地内のカフェでハンバーガーやミルクシェイクを買うことができる。また、トーストマスターズ、チェス、アートコース、ミュージック、合唱団への参加、園芸を学ぶことができるほか、受刑者向け番組「MacTV」用の映画制作コースも用意されている。全ての囚人たちは、独房の代わりに最大25室の個室がある寮に住んでいるという。
同氏は「マッコーリー刑務所で欠けていたのは、他の刑務所で感じるような迫り来る暴力の脅威。ここを出所した囚人と旧体制の囚人、どちらを自分の隣人として迎えたいかを考えさせられた。彼らは出所後に誰かの隣に住むことになるのだから」と語った。
マッコーリーのブレット・リーズ知事は、この新モデルには賛否両論があったが、再犯率減少のおかげで、結果としては圧倒的に受け入れられているとしている。運営されて6年になるこの刑務所では、暴力が厳禁となっており、囚人は2本指で顔を叩いただけでも移動させられるが、過去で発生した職員への暴行は2件しか記録されていない。1件は、囚人がスポンジイヤホンを職員に投げつけたことで、2件目は、囚人が水筒の水を職員の背中に浴びせたというものだった。
ソース: news.com.au -Why this controversial NSW prison is changing our perceptions of jail