【NSW26日】 新たな調査結果から、シドニー・メトロの建設中、作業員らは労働安全基準(WES)を208倍上回るシリカ粉じんにさらされたとわかった。シリカ粉じんの吸引は、珪肺(けいはい)症と呼ばれる致命的な肺病や肺がん、腎臓病などとの関連が認められている。
シドニーシティおよび南西部のメトロ建設中、作業員に対するシリカ粉じんのばく露はWESの208倍、空気モニタリングでも34パーセントが基準を逸脱していた。この間、8パーセントの事例で作業員たちは無防備だった。
王立開業医協会(RACGP)は、珪肺症患者の命は平均で12年短くなると見積もる。
国内で今年7月から、少なくとも1パーセントの結晶シリカを含む人工石のカウンタートップや化粧板、平板は禁止された。
オーストラリア労働組合(AWU)は、「今後多数の人が珪肺症の診断を受けるだろう」「メトロ建設に作業員の健康が代償となったと知れば、シドニー市民は怒りを表すだろう」と話す。
弁護士事務所「シャイン・ロイヤーズ」のキャスリン・タウンセンドさんは、じん肺を患ったトンネル掘削作業員を担当してきた。症状は息切れから疲労、身の回りのことができないまで様々だ。作業員の多くが一家の大黒柱だが、診断によってトンネル掘削業界では働けなくなる。
シドニー西部のメトロ建設で現在もトンネル掘削が進行中だ。トンネル掘削作業の空気モニタリングは東部が15パーセント、中部は17パーセント、西部で12パーセントが基準値を逸脱した。
タウンセンドさんは、労災が認められる可能性があるとして、トンネル掘削作業に携わり、珪肺症の症状があったら、医療機関での検査を強く勧める。
一方でシドニー・メトロは、作業員の保護に厳しい基準が設けられていると主張する。検査した空気の3分の1が許容基準を超えたのも、2019年7月に大気質の基準値が半減されたためという。
ソース:news.com.au -‘Death sentence’: Exposure to silica dust more than 200 times safety standard in Sydney Metro construction