【TAS3日】 オーストラリア人権委員会(AHRC)によると、国内で学ぶ海外留学生は、人種差別や学習能力に対する偏見など様々なネガティブな体験をしている。
マレーシア出身のイー・ボン・テオさん(31)は留学生として来豪し、10年近くになる。「故郷はタスマニア」と話すほどだが、「中国に戻れ」と言われたり、車の窓に人種差別的な落書きをされるなど、来豪当初から非社会的な言動に悩まされてきた。最も恐ろしかったのは、ホバートのカジノを友人と訪れた際、女性が攻撃的に近づいてきて「アジアのネズミたちは失せろ」と叫んだときだ。テオさんは、近年は差別行為を受けても無視するようになったのと同時に、自らの行動も変えた。パートナーから「公の場で常に、英語で小さな声で話している」と指摘されたテオさんは、「自分の存在を小さくして、差別の標的にならないようにしているのかもしれない」と話した。
TAS州で最近、留学生を標的にした2つの事件が発生した。インド出身のデバルシ・デッカさんは、暴力事件に巻き込まれて下半身不随となった。同じくインド出身のディーピンダージート・シンさんは、強盗未遂事件に巻き込まれた際にホバート湾に突き落とされて死亡した。
AHRCは先月、高等教育セクターにおける差別に関する中間報告を発表した。報告から、留学生らは軽蔑的な言動や学習能力による偏見など、あからさまに差別行為を受けているとわかった。
国内大学で修士学を学ぶためにインドから訪れたノアさん(24)は、対面授業・オンラインの両方で毎授業活発に議論に参加したが、担当教授はノアさんの授業参加評価を下げた。
ノアさんは大学だけでなく、地域社会でも差別を経験している。最も記憶に残るのは、小さな子どもに「インドのろくでなし」と言われたときだ。自身の弟よりも小さな子どもに言われたため、精神的なダメージは非常に大きかった。
オーストラリアはルクセンブルクに続き、海外留学生比率が世界で2番目に高い。2023年の留学事業は478憶ドルに上った。
政府は昨年、国内で勉学を開始する海外留学生の受け入れを上限27万人にすると発表した。今後は、各大学で入学希望者数が上限に近づくと、ビザ交付に時間をかけて回避する。
ソース:abc.net.au – International students facing discrimination inside and outside the classroom