キャンベラ - テロの脅威がますます激しさを増す一方、オーストラリアのテロ警戒レベルは過去4年間、中レベルに設定されたままであり、オーストラリア国民に混乱を招いている、と戦略的分析家は語る。
オーストラリア戦略対策機関のピーター・ジェニングス氏によると、差し迫るテロ攻撃に関する明確な情報があるときのみ、警戎レベルが変更されるという事実は、一般的に認識されていないという。
また同氏は、メルボルンがアルカイダの次の標的であると示唆した、最新の警告ビデオテープに関しても、警戒レベルを上げるほどの十分な情報がない、とフィリップ・ラドック法務長官が発言したことを指摘し、「これは国民に混乱を招く発言である。我々国民はこの警告を深刻に受け止めるべきかどうかさえ、確かではないからだ。」とABCラジオに語った。
また同氏は、世界貿易センターが攻撃されて以来、依然として警戒レベルに変化はみられず、バリ、マドリード、ロンドンでの攻撃後もそのレベルは変わっていないという。
成功したテロ攻撃とは、具体的な情報がない中、発生した攻撃のことをいう。つまり逆に言えば、事前に情報があれば、テロ攻撃を防ぐことができるのだ、と同氏は語る。
現在の警戒レベルシステムは4段階に分かれている。低レベル(テロ攻撃の可能性なし)、中レベル(テロ攻撃の可能性あり)、高レベル(テロ攻撃の可能性が高い)、非常レベル(テロ攻撃発生の危険性が高い、又は、テロ攻撃発生)。
ホームランド・セキュリティー・リサーチセンター長官、アトール・イエーツ氏は、政府は警戒レベルを変更したこともあったが、国家の警戒レベルは依然として変化がなかったという事実を指摘し、システムの徹底的な見直しが必要だと語った。
また同氏はABCラジオに対し、「現在の4段階の警戒レベルシステムよりも更に詳細に段階分けされたシステムに変更されなければならない。」と述べた。
同氏によると、地域社会が現在のテロの脅威をしっかりと認識できるような警戒レベルシステムを構築する必要性があり、今まさに国民はその状況下に置かれているのだという。