キューバのグアンタナモ湾米軍基地にテロ容疑で拘禁されているアデレード出身のデビッド・ヒックス容疑者の米軍軍事裁判の延期が突然解除された。弁護にあたっているデビッド・マクラウド弁護士は、この急展開をハワード政権が政治目的で米軍に圧力をかけたことによるものだと見ている。
ヒックス容疑者は、アフガニスタンのタリバン勢力に一ケ月間監禁された後に2002年からテロ容疑でグアンタナモ基地に拘禁されている。彼は殺人未遂、陰謀、敵をほう助したとの罪に問われているが、昨年無罪を主張。米軍事委員会の法的根拠に不服として米国の民事法廷に審理の請求をしていたが、軍事裁判は一方的に延期された。ヒックス容疑者の弁護団は、彼が国際法下に置かれていないことについても米国の地裁に審理請求していたが、まだどちらも審理されていない。しかし、国防総省はヒックス容疑者の軍事裁判を30日以内に再開すると突然発表した。月曜日にアレクサンダー・ダウナー豪外務大臣がラムズフェルド米国防長官と会見しており、マクラウド弁護士はこの政治的圧力が、急展開を引き起こしたに違いないと憤りをあらわにした。
「ハワード首相と閣僚達は政治的に抜け目なく、国民の間でヒックス氏の件が犯罪事件でなく人権問題を孕んでいるという見方が高まっているのをすばやくキャッチし、それを利用したんだ。その証拠に、誰も裁判の延期解除を知らせてくれなかった。マスコミを通じてこの展開を知った時の憤りといったらなかったよ。本当にこれが犯罪事件ならば、そんな馬鹿げたことはあり得るはずがない」
マクラウド弁護士は、弁護団が先週ヒックス容疑者と接見したことも明らかにした。
「ヒックス氏は恐らくまだ裁判の延期解除を知らされていないだろう。オーストラリア政府が彼を見捨てたことも」
「彼が望んでいるは、ただただ公正な裁判だ。どこで裁判が行われるかなんて関係ない。そこに正義が存在する場所であるならば。」
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