シドニー29日-アメリカン・エキスプレス社が長期就労ビザ(サブクラス457)のスポンサーとなって、技能者不足を解消するべくシドニーのコールセンターに160人の日本人を新たに雇用するという計画をめぐり、連邦政府内で意見が割れている。
同コールセンターは、2002年、東京からシドニーに移された。Amanda Vanstone(アマンダ・ヴァンストン)移民相は、日本人スタッフをビザ457規定の年俸以下で雇用できるとしているが、 Kevin Andrews(ケビン・アンドリュー)労使関係大臣は、年俸41,850ドル以下で海外からの技能者を受け入れることはできないと警告を発した。
先月、ヴァンストン移民相はモリス・イエマNSW州首相に宛てた文書の中で、日本人スタッフの年俸はおよそ36,000ドルに設定できるとした。さらにこれは今回の雇用計画を許可するか、オーストラリア人の雇用を失うかの二者択一だと詰め寄った。また29日、報道陣に対しても、提示した年俸は457ビザ技能者に対する都市部基準を下回るが、同コールセンターのオーストラリア人スタッフとは同額だと説明した。
Finance Sector Union (FSU) は、ヴァンストン移民大臣の言動に関して、今回の大量雇用が許可されなかったらコールセンターを中国に移す可能性のあるアメックスに媚びているだけだと非難。連邦野党とNSW州労働党も、アメックス計画は連邦政府が労使法改正で国内労働者の雇用機会と給与を削減した結果だと酷評した。
アメックス側は、今回の計画に関して、日本人顧客専用プラチナカード・サービスセンターで必要とする高度な日本語ビジネス会話スキルを持ったオーストラリア人を、必要な数だけ確保できないためだと述べた。シドニーのコールセンターでは既に250人以上のオーストラリア人が働いており、国内のバイリンガル市場を開拓し尽くしているともいえる。
FSUは、今回の計画がオーストラリア人の雇用機会を奪うと主張しているが、コールセンターが東京からシドニーに移った時、多くの日本人が職を失った。ネイティブスピーカーを日本から雇用することによって、オーストラリア人が海外のコールセンターに対して抱えているのと同じようなフラストレーション、担当者が自分の文化事情をはっきり理解してくれない苛立たしさを解消しようとしているのだと、ヴァンストン移民大臣はアメックスを擁護した。