ブリスベン7日-Queensland Brain Institute(QBI:クイーンズランド脳研究所)の科学者が、米国とイタリアの科学者との共同研究で、脳腫瘍の治療に効果的と思われるたんぱく質成分を発見した。
QBIのBrent Reymolds(ブレント・レイモルズ)教授によると、研究対象となった脳腫瘍は、脳腫瘍の中でも最も悪質のもので、最も多く成人がかかる脳腫瘍であるという。脳腫瘍と診断されてからの生存期間は通常12ヶ月余り。オーストラリアでは、毎年、1200人以上が脳腫瘍によって死亡している。
2年がかりで行われた同研究では、人間の脳腫瘍から採取された細胞を移植されたネズミが実験対象となり、一部のネズミには骨形成たんぱく質4(BMP4)と呼ばれるたんぱく質が与えられ、残りのネズミには偽薬が投与された。BMP4を投与されたネズミ達は腫瘍の成長が抑制されたのに対し、偽薬投与されたグループは3ヶ月以内に死亡した。
レイモルズ教授は、「通常行われている癌の化学治療や放射線治療では、癌細胞の分裂に焦点が当てられているが、このタンパク質は、ガンの幹細胞を直接攻撃する点にある。幹細胞を攻撃することによって、腫瘍の成長を抑制することが可能となっている」と語った。
同教授は、BMP4が人間の脳腫瘍にも抑制効果を持つことに確信をもっており、人間に対する臨床実験が早くて2008年には開始されると期待している。
また、このタンパク質が、乳癌や結腸癌、そして白血病などの癌治療にも効果を示す可能性が示唆された。