シドニー19日-シドニー大学によって行われた臨床試験で、乳癌患者の痛みと苦悩を和らげる新たな治療方法が発見された。
オーストラリアとニュージーランドで1000人以上の女性を対象に5年間行われた臨床実験では、乳癌の転移を調べる為に通常行われている脇のリンパ腺切除手術の代わりに、特別な色素をリンパ腺に注入して癌細胞に侵されている腺を調べ、影響されている腺のみを切除する治療方法が取られた。
今までの手法では、リンパ腺の大部分が切除される大手術となり、術後に腕の腫れ、痺れ、動かなくなるなどのむリンパ浮腫に苦しむ女性が多かった。切除手術を受けた女性の70%は、リンパ腺への癌転移は発見されておらず、手術は不要のものだった。
今回新たに導入されたSentinel Node Biopsy(センチネルリンパ節生体検査)と呼ばれる検査方法では、癌細胞に侵されているリンパ腺のみを特定して切除することが出来るため、手術規模も小さくなり、術後の腕の腫れで苦しむ患者数も減少した。
同試験の中心となったNeil Wetzig(ネイル・ウェジック)医師は、「センチネルリンパ節生体検査が、近いうちに小規模の乳癌患者に適用される生体検査の標準になるだろう」と語った。