シドニー15日ートランスタスマンの分析で、テロ攻撃や大規模な自然災害が発生した場合、オーストラリアとニュージーランドの病院は大勢の負傷者を収容し、手術を実施することが不可能であることが判明した。
同研究の結果、重傷を負った患者の61%から82%は即座に手術室を利用できないことが分かった。手術室を利用できる割合が最も低かったのはニュージーランドで、10万人に対し手術室が2.5室以下。一方、割合が最も高かったのは首都特別地域とノーザンテリトリー準州で、ニュージーランドの2倍だった。また、負傷者の約70%がICU(集中治療室)を利用できないことが予測される。
一方、Tony Abbott(トニー・アボット)連邦保健相は15日、国家、州、機関レベルでさまざまな災害管理計画が実施されており、災害発生時には不測の事態に対応できるようオーストラリアの病院は十分準備が整っていると話した。アボット保健相は、「米国で発生した9・11同時多発テロ事件のような大規模のテロ事件が発生しても、我々は十分対応できる自信がある」と語った。
一方、同研究のリーダーでシドニーのRoyal North Shore Hospital(ロイヤル・ノース・ショア・ホスピタル)外傷性障害科部長のAnthony Joseph(アンソニー・ジョセフ)博士は、今回の研究結果で懸念事項が浮き彫りになったと語る。 米国では全州に対し、災害発生時には100万人に対し500人を治療できる体制を整えるよう要求している。これは、シドニーに置き換えると1900人に相当するが、オーストラリアで大災害が発生し、大勢の負傷者が出たとしても、オーストラリアの病院がこの米国の基準を満たすことは不可能だという。