パース20日―アスベスト廃墟の町となった西オーストラリア州、Wittenoom(ウィッテヌーム)が、地図から抹消されることとなった。
西オーストラリア州政府は、20日、立ち退きに抵抗する8人の住民が住み続けるウィッテヌームを、町としての認定からはずし、地名登録から抹消されると発表した。これによって、同州北部に存在する同町は、地図上からも消え去り、汚染された地区への道路は永久的に閉鎖されることとなる。
20日政府が公表した、元Pilbara(ピルバラ)として知られる鉱山町のアスベスト汚染に関する報告書によれば、立ち退きに反対する住民らは、アスベストにさらされる危険が非常に高いという。また、近郊の渓谷や氾濫源で猟を行ったり泳いだりする40人ほどのアボリジニの人々も、アスベストの影響を受ける危険性が高く、1日当たり40人にものぼる同地区を訪れる旅行者も中度の危険にされされるという。
Jon Ford(ジョン・フォード)地域開発相によれば、公共の健康がさらされる危険度は許容範囲を超えているという。報告書は、同町を取壊し、アスベストに汚染された全ての建物を埋め、周辺の道路標識から町名を抹消し、迂回路を建設して町への交通を絶つことを提案している。州政府は1970年代から、同町の閉鎖を試みており、2005年後半には電力供給が切られたが、幾人かの住民は頑なに立ち退きに抵抗してきた。
ウィットヌームの町に17年間住み続けてきたMari Hartmann(マリ・ハートマン)(43歳)さんは、町が公式に存在しなくなったとしても町に住み続けるだろうと話し、「電力供給も切れ、政府はできることは全てやってきた。いまさらここに住むことに大きな変化はないよ。この町を愛しているから、ここから立ち退く気はない」と、今後も住み続ける決意を語った。ハートマンさんによれば、州政府はハートマンサンの家に4万3千ドル、そして引越し費用として1万1千ドルを提示してきたという。