【シドニー10日AAP】国内初となる公共病院での深刻な医療ミスに関する調査報告書で、2004年から2005年の間に医療ミスなどによって患者が不必要に死亡、または危険にさらされた数は、少なくとも130件におよぶことが明らかになった。
最も頻繁に発生し防止可能だった医療ミスは、間違った患者、または間違った身体部位に治療を行ってしまったもので、全体の41%を占める。手術器具などを体内に残したまま縫合されてしまったケースが27件、似た発音の名前を持つ患者と間違われたまま結腸内視術を受けた患者もいるという。これらの医療ミスの結果、1人が死亡、死に至った原因の一部が医療ミスによるものとみられるものがこの他に数件ある。防ぐことが可能だった医療ミスが原因で出産中に母親が死亡したケースは5件、精神病棟の患者が自殺したケースは25件報告された。
患者の安全問題を専門とするステファン・ボルシン准教授によれば、医療現場での患者の安全保護は、過去10年間でほとんど改善されていないと語り、「国内の医療機関での安全基準違反によって、乳癌や交通事故による死者数より多くの人が死亡している」と、危機感を訴えた。