【シドニー12日AAP】トカゲの唾液に含まれるホルモンから開発された糖尿病の新薬が、オーストラリア国内で発売された。
ビェッタと呼ばれる新薬は、既存の糖尿病薬との組合わせて使用することで、俗に“糖尿肥満”と呼ばれる、糖尿病患者の肥満問題と糖尿病管理の解決法となることが期待されている。メルボルンの国際糖尿病機関代表のポール・ジメット教授によれば、同薬は既に米国で18カ月間使用されており、限られた臨床データしかないが、非常に効用が高いことが示されているという。
同薬は、食事後の体内の血糖値変化をより効果的に制御するように体内の働きを助ける役割を果たす。米国の科学者が、アリゾナ砂漠トカゲの唾液に含まれる成分に新陳代謝を大幅に抑える成分を発見したことから、この新薬が開発された。アリゾナ砂漠トカゲは、この成分によって抑えられた新陳代謝によって、一年間にわずか4回食べるだけで生息していくことが可能だという。
豪国内では、約85万人が第2型糖尿病と診断されており、この中の約3分の2が、薬を使用して糖尿病の症状管理を行っている。ビェッタは、既存の糖尿病治療約との組合せで使用することが可能で、試験結果では、投与を開始してから30週間以内に糖尿病の症状をコントロールすることが可能になることが示されている。
製造元の製薬会社エリ・リリー社は、同薬が政府の医薬補給金制度の対象になるように申請予定だが、認可が下りるまでの間は、1日2回の注射による薬投与に対して、1月当たり200ドルの費用がかかるという。