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腎不全患者 「もう待てない」 海外で臓器購入、増加の見通し

 【キャンベラ23日AAP】豪腎臓協会は23日、末期の腎不全患者が増加するにともない、海外に赴き、臓器を購入する患者がますます増えることが予想されると発表した。

 ビッキー・パスクアルさん(40)は2004年に腎不全と診断された後、臓器移植の順番を待ちながら3年間の透析治療を受けていたが、病状が悪化してきたことで、臓器を購入するためにフィリピンへ行くことを決断した。

 オーストラリアでは臓器の購入は違法。一方、貧困がはびこるフィリン、中国、パキスタンなどの国々では臓器売買は合法、あるいは法規制がない。

 パスクアルさんはニュース・リミティッド社に対し、「この病気が私の体に致命的な影響を与えているのは確実。臓器移植を受けるためなら何でもする。腎臓提供率が著しく低いオーストラリアでは、腎臓提供を受ける確率はほとんどない」とした。「批判を受けるかもしれないが、私と同様の状況下に陥れば、みんな同じことをするはず」とも語った。

 現在、国内で腎臓移植を必要としている患者数は1400人以上。移植を受けるには平均4年~5年かかるという。同協会会長のアン・ウィルソン氏は、「腎臓移植の不足から、将来、海外で臓器購入をする人が増加するだろう。透析を受けている患者数は1年で6.5%増加した」と語った。

 ウィルソン氏にると、230万人のオーストラリア人が初期腎不全を患っており、自覚症状がないという。症状を自覚しないまま、腎臓機能の90%が不能となることもある。腎不全による死亡件数は過去20年間で2倍に膨れ上がり、1日40人以上が死亡していることになる。

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