【シドニー10日AAP】10日、赤道直下の太平洋島国キリバスでの調査旅行を終えて帰国したオーストラリア使節団は、気候変動問題への対処として連邦政府に京都議定書への調印を要求した。
マルコム・ターンブル連邦環境相は、豪政府が改訂された京都議定書を批准する可能性をフェアファックス紙に語っており、オーストラリアが調印することで、議定書で規定される拘束力のある二酸化炭素排出量削減目標を受入れるように、米国などの他の先進諸国に圧力をかけることができると考えられている。
キリバスへの使節団は同国のアノート・トング大統領と会見し、珊瑚礁でできた同国の侵食や海面水位上昇、砂の移動が深刻な問題であるという訴えを聞いた。近年で、同島には3~4メートル侵食された部分もあり、最悪の予測では、同国の11万人の国民が20年以内に別の場所へ移住しなければならなくなるという。
同使節団メンバーのメアリアン・ロフリー博士は、オーストラリアのような大きな隣国が、必要とされる地球温暖化ガス排出量の削減を拒否している間にも、キリバスのような海抜の低い島国では、すでに気候変動の影響が実際の問題として感じてられていると説明し、「キリバスの国民はすでに問題の改善に真剣に取り組んでいますが、彼らは大きな先進諸国が努力しなければ問題は解決しないことを知っています。被害者となっているこれらの島国は、総地球温暖化ガス排出量のわずか0.6%を排出しているだけです」と、問題の深刻さを訴えた。