【キャンベラ5日AAP】パキスタンのムシャラフ大統領の非常事態宣言を受け、米国はパキスタンへの援助を見直すことを発表し、パキスタンは対テロ戦争で同盟を組んできた米国から非難を浴びている。
この事態を受け、豪政府は5日、ムシャラフ大統領の決定に対し懸念を表明すると共に、これが駐留豪軍に直接的な影響を及ぼすだろうとの見方を示した。憲法を一時的に無効にし、最高裁判所長官を解任し、メディア規制を強めたムシャラフ大統領の行動に対して非難が集まっている。また、同大統領は1月に予定されていた民主的選挙を延期する可能性を示唆した。
ジョン・ハワード首相はムシャラフ大統領に対し、「今まで大統領がとってきたテロへの強硬姿勢については多いに敬意を払うが、豪政府は法律の範囲を超えた行動に関しては支持できない。大統領が早い段階で民主化への道へ引き返すことを願う」と語った。
アレクサンダー・ダウナー外相は、豪政府はパキスタンに対し人道的援助や対テロ戦争を支持する支援を行ってきたため、支援に関しては米国の考えに従う可能性は低いとした。「パキスタンの情勢の安定化のためにも、豪政府としては支援の中止はしたくない」とダウナー氏。
パキスタンへの支援の廃止がアフガニスタン駐留豪軍にどのような影響を及ぼすかが大きな懸念材料になる。 ロバート・マククレランド野党外務スポークスマンは、「パキスタンの問題がアフガニスタン駐留豪軍の安全面や任務に直接的な影響を及ぼす。国境付近のタリバンやアルカイダ武装集団の動きを制御するためには、パキスタン政府の協力が不可欠。その協力なしではアフガニスタンでの事態の収拾は困難」と語った。