【シドニー3日AAP】ニュース・リミティッド系紙は、認知症を患うエルサ・フェイセンダさん(82)がブラックタウン病院で入院中、ベッドで排尿した後27時間もそのまま放置されていたと報じた。
この報道を受け、NSW州の医療システムに対する王立委員会の調査を求める声が上がったが、モリス・イエマ州首相はこの提案を棄却した。
フェイセンダさんの娘が病院を訪問した際、母親の様子に問題はなかった。しかし、翌日、ベッドのタオルは尿で濡れ、下着も着用していない状態で放置されているフェイセンダさんを娘が発見した。
今回の件は、NSW州の医療システムをめぐる一連のスキャンダルの1つといえる。
2005年11月、バネッサ・アンダーソンさん(16)がゴルフボールで頭部を打った後、ロイヤル・ノース・ショア病院で死亡した。NSW州検死官代理のカール・ミロバノビッチ氏は同件の調査を統括していた。同氏は、医療スタッフの決断の遅さ、コミュニケーション不足、経験不足のスタッフや長時間の残業、記録管理の不備などがアンダーソンさんの死に関連しているとし、政府を批判していた。
イエマ州首相は、フェイセンダさんの件を「悲惨で容認できない」としながらも、今回のケースは病院自体の問題であり、医療システム全体が関与している問題ではないと語った。