【ブリスベン23日AAP】貧しい第3世界諸国から医師を輸入することについて、QLD州医師会が社会的倫理を問いかけている。
今週発行された英国の医学誌「ランセット」の中では、特にサハラ砂漠以南のアフリカ諸国から医療従事者を奪い取ることは「犯罪」であると断言されており、オーストラリアや英国、米国、カナダなどの西側諸国がアフリカ人医師の雇用を率先しているとして名指しされている。豊かな国々に医師が流出してしまうため、アフリカでは医療従事者がさばき切れないほどの患者を背負う事態になっている。
オーストラリア医師会QLD州支局長のロス・カートミル医師は、貧国から医師を奪うことに対して否定的で、「アフリカだけでなく、インドやスリランカ出身の医師もオーストラリアで雇用されています。私は、第3世界諸国から医師を輸入することは、犯罪というよりはモラルに反することだと考えます。犯罪という表現は少し語調が強すぎます。しかし、どのような表現を使おうとも、悪いことは悪いのです。私たちは自国の福祉のことは考えますが、貧国の福祉については考えません。オーストラリア人のモラルが問われています。皆がこの問題について考えなければなりません」とコメントしている。
カートミル医師によれば、QLD州で働く医師のうち、50%はオーストラリア国外で訓練を受けた医師であるが、この中には英国などの先進国出身の医師も含まれているとのこと。