【シドニー4日AAP】男性の性ホルモンであるテストステロンの分泌が異常に低くなると、うつ病を発症する危険性が著しく高くなることが研究結果で明らかになった。また、研究の結果、テストステロンの分泌が異常レベルと判断された患者はホルモン注射を打つことが奨励された。
ウエスタン・オーストラリア大学の研究者が70歳以上の男性約4000人を対象に研究を実施したところ、テストステロンの分泌量が低い男性は分泌量が高い男性よりもうつ病を発症する可能性が3倍だった。
一般的に健康状態が悪いとうつ病の発症リスクが増し、ホルモンレベルが減少すると認識されているが、今回の研究では健康状態に関係なくホルモンレベルとうつ病との関係が明確になった。
性ホルモンとうつ病の関連性は科学的に完全に証明されたわけではない。しかし、ホルモン分泌量の低さが脳の神経伝達物質やホルモンのレベルに何らかの変化をもたらすとされる。
同研究を実施したオスヤルド・アメイダ教授は、現段階でうつ病患者の老人男性にテストステロン補充療法を試みる科学的根拠は十分あるとした。現在、うつ病患者に対する効果的な治療法はない。
テストステロン補充はスポーツ選手の運動能力を違法に向上させる悪質な方法だが、筋肉増強や骨粗しょうの治療のためにテストステロン補充療法を利用する老人の数は近年増加傾向にある。